| 2002年09月07日(土) |
wonder land. |
ある所にお姫様がいました。
お姫様の毎日は王子様に憧れながら、
隣の国のお姫様と仲良く遊ぶ日々でした。
王様は言います。
『姫、外は危険が一杯だから、王子が来るまで城の外に出てはいけないよ』
お姫様は隣の国のお姫様とお城のお庭で遊ぶ以外に、
『おそと』を知らないままでした。
お姫様は思います。
『きっとお外は楽しい事がたくさんあるわ。
だって、友達の姫がうちのお城に来るまでの街中の話ったらないもの。
きっと、楽しい事がたくさんあるに違いないわ。』
そんなある日でした。
お姫様の元に、王子様がやって来ます。
『前からずっと姫の事が好きでした。
どうか、姫の願い事を叶えて差し上げるチャンスを下さいませんか。
見事叶った暁には、私と結婚致しましょう。』
お姫様はにっこり笑って頷きます。
『いいわ。
王子様、私お外に行ってみたいの。』
『勿論、お連れ致します。』
王子様を傍らに、お姫様はお外を歩きます。
街の中は活気に溢れていました。
王子様はお姫様が退屈しないように、
たくさんのお話をしてあげます。
お姫様は笑います。
でも、心のどこかが乾いた笑いでした。
夜になってお城に帰ると、王子様は言います。
『姫、やはり貴女は私の思った通りの人だったよ。
離れたくない。
早く、結婚が出来るといいね。』
そう言って軽く頬にキスをして王子様は帰って行きました。
お姫様は悩みます。
王子様の事は嫌いじゃないわ。
王子様は楽しいお方だもの。
でも私、王子様の事ちゃんと好きなのかしら。
ただ、お外に出たかっただけではないのかしら。
王子様といるのも楽しいけれど、
お友達の姫といる方がよっぽど楽しくていいわ。
私、このままでいいのかしら・・・。
そうやって悩むお姫様を他所に、
お城ではパーティが開かれます。
お姫様が婚約をしたからです。
王様も、御后様も、姉姫も、みんなが口々にオメデトウを言います。
お姫様は考えます。
きっとこれでいいんだわ。
みんな喜んでいるんだもの。
王子様よりお友達の姫の方が私は好きだけど、
きっとこれでよかったのよ。
このまま結婚するのが、きっと一番いいんだわ・・・。
こうして少しだけ王子様を欺いたお姫様と、
自分の想像に叶ったお姫様の事だけしか見ない王子様との結婚式が
盛大に行われるのです。
そこには幸せそうな一組の夫婦がいました。
そう、それは。
遠い国のむかしのおはなし。
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