樹齢五百年と六百年の間に
女郎蜘蛛は巣を作った。
大きな、大きな蜘蛛の巣だった。
朝露に濡れて雫が光ると
大きな一枚の絵に見えた。
ある日、ちょうちょがひっかかる。
食べ物だった。
蝶は泣きながら思うのである。
おとうさん、おかあさん、さようなら、と。
しかし、女郎蜘蛛は食べようとしない。
数日後、もう一匹ちょうちょがひっかかる。
前にかかった蝶は言う。
きっと私たち、食べられてしまうわ、と。
後にかかった蝶も言う。
まだしたい事は沢山在ったのに、と。
気付くと女郎蜘蛛が傍に居た。
怖さに竦んで声も出ない二匹に、
女郎蜘蛛は醜悪な笑顔を曝して言うのである。
『いらっしゃい、私の家へ。 私、お友達が欲しかったの。』
女郎蜘蛛と、蝶二匹。
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