コトバアソビ。
無断引用お断り。

2003年01月15日(水) おもいやり。


あるところに、

星を食べるカイブツがいました。

またあるところに、

雲を食べるカイブツがいました。

二人はともだちどうしでした。

星を食べるカイブツが聞きます。

『雲の味はどんなふうだい?』

雲を食べるカイブツは答えます。

『そうだなぁ、ふわっとしててじんわり心に沁みる甘さだよ。』

星を食べるカイブツが言います。

『わたあめ、みたいなカンジかい?』

雲を食べるカイブツは頷きます。

『うん、きっとそんな感じだね。僕は雲しか食べた事がないけれど。』

そして、今度は雲を食べるカイブツは尋ねます。

『ところで、星の味はどんなふうだい?』

星を食べるカイブツは答えます。

『そうだなぁ、舌の上でぱちんと割れてほのぼのできる甘さだよ。』

雲を食べるカイブツが言います。

『こんぺいとう、みたいなカンジかい?』

星を食べるカイブツは頷きます。

『うん、きっとそんな感じさ。僕は星しか食べないけれど。』

雲を食べるカイブツは言いました。

『一度、星を食べてみたいなぁ。』

星を食べるカイブツも言いました。

『僕は一度、雲を食べてみたいよ。』

雲を食べるカイブツはにっこりと笑いました。

『じゃあ、取り替えて食べてみればいいのさ。』

星を食べるカイブツもにっこりと笑いました。

『そうだね、そうしよう。そら、星だよ。』

星を食べるカイブツは、雲を食べるカイブツの手に

星をさらさら落します。

『ありがとう。そら、雲だ。』

雲を食べるカイブツは、星を食べるカイブツの手に

ふわんふわんと雲を乗せます。

どちらからともなく、二人は言いました。

『いただこうか。』


・・・ぱくん。


雲を食べるカイブツは言います。

『・・・おいしいなぁ。』

星を食べるカイブツも言います。

『・・・おいしいねぇ。』

二人は顔を見合わせて、にっこり笑いました。


二人はお互いに、嘘をつきました。

本当の事を言ったら、

きっと相手がかなしむと思ったからです。


おいしいはずがありません。

ホントウは、雲も星も、味なんてないのですから。


 既知  置場  未知


本田りんご

My追加
コトバアソビ。