あるところに、
星を食べるカイブツがいました。
またあるところに、
雲を食べるカイブツがいました。
二人はともだちどうしでした。
星を食べるカイブツが聞きます。
『雲の味はどんなふうだい?』
雲を食べるカイブツは答えます。
『そうだなぁ、ふわっとしててじんわり心に沁みる甘さだよ。』
星を食べるカイブツが言います。
『わたあめ、みたいなカンジかい?』
雲を食べるカイブツは頷きます。
『うん、きっとそんな感じだね。僕は雲しか食べた事がないけれど。』
そして、今度は雲を食べるカイブツは尋ねます。
『ところで、星の味はどんなふうだい?』
星を食べるカイブツは答えます。
『そうだなぁ、舌の上でぱちんと割れてほのぼのできる甘さだよ。』
雲を食べるカイブツが言います。
『こんぺいとう、みたいなカンジかい?』
星を食べるカイブツは頷きます。
『うん、きっとそんな感じさ。僕は星しか食べないけれど。』
雲を食べるカイブツは言いました。
『一度、星を食べてみたいなぁ。』
星を食べるカイブツも言いました。
『僕は一度、雲を食べてみたいよ。』
雲を食べるカイブツはにっこりと笑いました。
『じゃあ、取り替えて食べてみればいいのさ。』
星を食べるカイブツもにっこりと笑いました。
『そうだね、そうしよう。そら、星だよ。』
星を食べるカイブツは、雲を食べるカイブツの手に
星をさらさら落します。
『ありがとう。そら、雲だ。』
雲を食べるカイブツは、星を食べるカイブツの手に
ふわんふわんと雲を乗せます。
どちらからともなく、二人は言いました。
『いただこうか。』
・・・ぱくん。
雲を食べるカイブツは言います。
『・・・おいしいなぁ。』
星を食べるカイブツも言います。
『・・・おいしいねぇ。』
二人は顔を見合わせて、にっこり笑いました。
二人はお互いに、嘘をつきました。
本当の事を言ったら、
きっと相手がかなしむと思ったからです。
おいしいはずがありません。
ホントウは、雲も星も、味なんてないのですから。
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