昔々、家鴨に育てられた白鳥の子がいました。
白鳥の子は、自分の兄弟達に虐められます。
「変なの、変なの!! お前の身体、鼠色だ!!」
白鳥の子は、親からも言われます。
「お前が自分の子だなんて、思いたくないわ。出来損ない。」
白鳥の子は泣くのです。
泣きながら、思うのです。
きっと、大人になったら立派な家鴨に成れるさ。
大人になったら、きっと。
暫くして、
兄弟達が親元から独り立ちする事になりました。
成長した白鳥の子は、
やはり家鴨には成れずに白鳥のままでした。
兄弟達は囃し立てます。
「変なの、変なの!! お前の身体、真っ白だ!!」
親はもう、言葉すら掛けてくれません。
白鳥の子は思います。
この身体が、もう少し、茶色だったら。
この身体が、もう少し、小さかったら。
この身体が、もう少しだけ。
そうしたら、兄弟達は僕の事、
仲間に入れてくれた?
そうしたら、お母さんにもお父さんにも
笑顔を見せてもらえたの?
思いながら、自分の羽根を毟って行くのです。
この白い羽根の下からはきっと、
皆と同じ茶色の羽根が。
そうしたら、僕は。
毟っても、毟っても
白鳥の子の毛は白いままでした。
その内に、無理矢理毟った皮膚が切れて
白い羽根がどんどん赤く染まりました。
白鳥は紅鳥になりました。
綺麗な紅鳥に成った白鳥の子は、
其処で息絶えてしまいました。
それでもやっぱり、兄弟達は言うのです。
「変なの、変なの!! こいつの身体、紅色だ!!」
もし、白鳥の子が、白鳥の仲間に会えていたとしたら。
|