手をかける。ドアノブに手をかける。ふと思う。自分は何を見るだろう。扉一枚隔てた向こうは、地獄か否か。例えば、この扉一枚向こうに望む悪魔がいたとしたら。それは地獄か。望んでいるのだから天国か。悪魔と剣を交えることが望みだ。悪魔と身体を交えることが望みだ。悪魔と口付けを交わして、その舌を喰い千切るのが望みだ。この身体が闇色に堕ちれば良い。その官能が濡れ羽色であれば良い。ドアノブをひねる。そこに何が見えるのか。真実だけが、在れば良い。