今日の日経を題材に法律問題をコメント

2002年04月25日(木) 税金訴訟で勝つ確率は意外と高い。

 日経(H14.4.25付)・社会面に、「税追徴16億円取り消し」という見出しで、東京地裁が、重加算税を課税した国税当局の判断は違法としたという記事が載っていた。


 税金訴訟は、弁護士でも手がける人は少ないが、裁判で、原告の訴えが認められることはしばしばある。

 税金の場合は、裁判の前に国税不服審判もあるから、それを含めると、不服申立が認められることは意外と多い。


 もちろん、税金訴訟の中には、原告の主張は、どう考えても通らないだろうと思うケースもある。

 私が司法修習生のころ、裁判所で税務訴訟に立ち会ったことがあったが、そのときの原告の主張はムチャクチャであった。

 原告の言い分を聞くと、「税理士に相談したら、以前、勝ったことがあるから、裁判したら大丈夫と言われた。」とのこと。
 さらに、どんなケースで勝ったのかと聞いたら、本件とはまったく事案の違うケースであった。

 当然、原告敗訴になった。


 このように、最初から勝つのが無理な事件も、統計には入ってきている。

 そこで、このようなケースを統計から除くと、不服審判や裁判で、課税に対する不服が認められる割合はかなり多くなるのではないだろうか。


 国税不服審査請求件数は年間大体3000から4000件。
 うち一部取消し、全部取消しが400〜500件だそうである。

 この中には、前記のような主張自体が無理なケースも入っているから、実質的確率は相当高いように思う。


 課税は法律に基づかなければならない(課税法律主義)が、税務署の課税処分はかなり恣意的なところがあるような気がする。

 それが、不服が認められる確率が高い結果につながっているのだろう。


 したがって、課税処分に対し、常識的に考えておかしいと思った場合は、不服申立をした方がよいだろう。

 ただし、税務署からは睨まれるだろうから、税金を誤魔化すなど、後ろめたい気持ちのある人は、別である。
 


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