2002年10月11日(金) |
診療報酬の不正請求について |
日経(H14.10.11付)社会面に、東京女子医大カルテ改ざん事件で、遺族が、東京女子医大が診療報酬を不正請求したとして、厚生労働省に調査するよう要望したと報じていた。
その記事の最後に、不正請求が確定した場合、保険医療機関の資格を取り消され、保険診療できなくなることもあると書いていた。
しかし、診療報酬不正請求は、診療していないことを診療したことにして診療報酬を得るのだから、詐欺以外の何ものでもない。
りっぱな刑法犯である。
私が扱った医療過誤事件で、裁判所を通じてカルテを強制的にコピーして調査したところ(証拠保全手続きという)、数箇所にわたり、診療していないことをしたことにして保険請求していたことが分かったことがあった。
もっとも、それで大喜びして、「病院に対し、損害賠償請求をする。請求を認めなければ、警察に詐欺罪で訴えるぞ。」なんていうと、逆に、こちらが恐喝罪になってしまう。
そのため、ちょっとしたテクニックが必要なのだが、結局は、恐喝に該当することなく、こちらに言い分を認めさせたことがある。
その例を見ても分かるように、診療報酬の不正請求は、高い頻度で行われている。
そして、それは詐欺罪であるのに、ほとんど不問に付されているのは不思議というしかない。
この記事の下に、イトーヨーカ堂がバーバリーの偽マフラーを売ったことで、自主回収して返金を応じることにしたところ、その騒ぎに便乗して、偽マフラーを買ったと嘘を言って払戻金を騙し取ろうとして、詐欺罪で逮捕された事件を報じていた。
しかし、騙し取ろうとした金額は17万5000円である。
診療報酬の不正請求は、かなり頻繁に行われており、とてもそんな額ではすまない。
わずか17万5000円で逮捕されたことに比べて、なんだか不合理を感じてしまった。
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