2003年09月10日(水) |
地域通貨は、日銀の通貨発行権を侵害しないか |
日経(H15.9.10付)5面に、特定の地域だけで使うことができる地域通貨が急速に増えてきているという記事が載っていた。
地域通貨は地域のボランティア活動や地域の活性化と結びついている場合が多く、決して否定すべきものではない。
ただ、地域通貨が通貨の機能に限りなく近づいてくると、中央銀行が独占する通貨発行権に抵触しないかという問題が生じてくる。
この問題については、少し前に電子マネーが話題になったときも議論された。
また、かつて汎用プリペイドカードに関する法律制定の際にも検討されたことがある。
その際に大蔵省は、通貨の機能とは、どこでも、誰でも、何にでも、支払いないし決済の手段として利用できることであるという見解を示している。
かかる見地から地域通貨を検討すると、地域通貨は「どこでも」使えるわけではないし、使用できる範囲は限定されており、「何にでも」ともいえない。
したがって、地域通貨は通貨類似の機能を持つとはいえず、日銀の通貨発行権を侵害しているとはいえないということになろう。
先の記事の中で、日銀総裁は「地域通貨に大いに期待している」と述べたそうであるが、その背景には、このように理論問題がクリアーできているという自信があるのだろう。
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