今日の日経を題材に法律問題をコメント

2014年10月29日(水) 破産管財人の地位は会社と同一ではない

 日経(H26.10.29)社会面で、ねずみ講をしていた会社の破産管財人が、損失を受けた被害者に弁済するために、上位会員に対し、儲けた利益の返還を求めた事件で、最高裁は請求権を認める初判断を示したという記事が載っていた。


 二審・東京高裁は「不法な原因のために給付をした者は、その返還を請求できない」(不法原因給付)として、破産会社の管財人の請求を認めなかった。


 これに対し、最高裁は、「上位会員が返還請求を拒否できれば被害者である他の会員の損失の下に、不当な利益を保持し続けることになる」「上位会員が請求を拒むことは信義則上許されない」としたものである。


 最高裁の判決は、返還を求めているのが会社ではなく、会社の破産管財人というところがポイントであろう。


 つまり、会社の破産管財人は、会社財産の管理処分権をすべて有するのであるが、会社と同一というわけではなく、第三者的立場でもあるということである。


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