嗚呼ほら、此の痛みは罪とか咎とか報いとか、そういう因果応報の類のものなのだ、きっと。全しの善人なんて存在しないから、私も、何かしら抱えている、絶対に拭い去れないものを。神様は信じられなくても、原罪は信じられる。生まれてくること自体が罪だというのなら。何を、迷うことがあるというのだろうか。
兄さんは一週間ほどで退院して、私の生活は、日常は、以前にも増して悲惨なものになっている。早く連休なんか明けてしまえ。私の本当の日常を、返せ。働いているときはそういうことに対して無心になれる。仕事のことだけ考えていれば良い。図書館も、リテラシーTAも。ゼミの予習も卒論も受験勉強も、家では捗らなくて、地下鉄の中やらカフェやら、本来の目的とは違う使用方法で活用する。何処だって集中なんて続かない。全部、大っ嫌いだ。
私のことを私だと知らなかった人に、会った。友人の紹介(?)で、唐突に引き合う、引き合わされる、否、出逢う。こういう不意打ちのような出逢いは――嫌いではないけれど、格別好きでもない。確かに、何時か会ってみたいなぁと思っていた人だった。だから好きではない出会いの理由は別にある。私は――私のことを私だと知らない人に会うのが、好きではないのだ。私のことを私だと知らなかった人が、私の事を私だと認識するようになる。其れが、嫌い。私は、私のことを私だと知る人が居ない地に行きたいと常思っている。私は、臆病だ。なんて、不様。
遠くから聞こえる、歌声が耳に障る。胃が痛む。子宮が痛む。眉を顰め、眼を細め、私は気張るだろう。
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