わたしの爪は弱い。 お手入れしないとすぐ折れてしまう。 こんなに長い間、折れたままの爪、 お手入れされない爪のまますごしたのは久しぶりだ。 気がつくとなんだかボロボロなわたし。 忙しいから、まいっかと思い始めた今日この頃、 彼女はあらわれた。
真っ黒な前髪はスケベわけ。 櫛のとおっていないボウボウぶり。 菊人形のように長い髪は ミツアミでアンモナイトのように頭頂部に はりつけられている。
満月のように大きな顔に 夏みかんのような肌。 フリーダカーロのようなつながった眉毛に 朝青龍のような目。 曙のような肉体を持つ彼女は 人を遮り1分間に120語を話す。 年はきっと5つも変わらないはず。
。。。。
いけない。 こうなってはいけない。
神様はわたしに警告するために 彼女を派遣社員として送り込んだに違いない。
彼女の上司であるマネージャーが こんなことを言っていた。 「彼女は外見で選んだんだよね」
返事に困るわたしに、彼は宣った。 「前に来てもらってた派遣さん すごい美人だったから、他の女子社員とうまくいかなくてさぁ」
。。。。
なるほど。 世の中は何が良いことに転ぶかわからないものである。
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