なんとなく忙しくてこういう時間がつくれなかった。 体調があまり良くなかったり、 いやなことが続いたり、 それ以上に、 ただなんとなくしなければならないことにおわれてしまった。 何気ない気持ちで始めた日記だったけど、 こうやって自分の気持ちを確認したり、 どこかでなにかが変わるように、 いつかは思いが届くように、 願いをかけたりするこういう時間が今の私にはものすごく必要だったって、 喉の奥あたりが苦しくなってはじめて気づいた。
今日は雪が降ったり止んだり寒い一日でした。 ここのところ毎日、旅行に行きたくて仕方なかった私には、 自分のデスクから眺める雪の舞う景色が新鮮に映ってどきどきした。
はじめて自分で旅行にいったときのこと思い出したんだ。 まだ高校生で、 学校に内緒でバイトしてお金貯めて、 気の合う仲間とバスで一泊二日のスキー旅行にいったこと。 すごくすごくたのしかった。 はじめてでどうにも思い通りにならないスキー、 ペンションまでの細くて急な坂。 みんなで何度も深雪に埋まって、 宿に着いた頃には真っ暗だったこと。 ぽつんと立ってた目印の水銀灯の明るさ、 昼間とはうってかわってきれいに晴れ渡った満点の星空。 スキー板をはずしたあと、本気で疲れて立ち上がれなくなったこと。 大きなストーブのあたたかさ。 今でもよく憶えてる。
その旅行の帰り道、 みんなハイテンションで何をしても聞いてもたのしくて、 笑い転げてた。 気にしないようにしていたとおもう。 だけどどんどん雪が少なくなっていく景色がバスの窓からみえて、 突然涙が止まらなくなってしまった。 友達と、ほんとにたのしく会話をしている最中に、 ぼろぼろぼろぼろ、とめられなくて、 ほんとうにはずかしかった。
理由はわかってた。 かえりたくなかったんだ。 家に。繰り返す日常に。 ただみんなといっしょにいたかった。 いつまでも。 そんなこどもくさくて純粋な気持ちの流れを、 当時の私は止めることもごまかすこともできなかった。
それ以来、 二十歳もこえて一人暮らしをはじめるくらいまで、 旅行にいくたび帰り道で涙ぐんでははずかしい思いをしてた。 今はもう大人になったし、 旅行以外にも、みんなと一緒にいる方法をみつけたから、 そういうのをかくしていられるようになったけど。
旅行にいこうよ。 遠くなくったってかまわない。 日常を一瞬で飛び越えよう。 距離も時間も関係ない。 惰性や慣用、あきらめにきびすをかえして、 もっと自由なところへいこう。 いっしょに。
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