ただいまぁ。 半月が空の真ん中を渡っているのがきれいにみえる、 私の、 窓の広い家に今帰りつきました。
とても贅沢な旅でした。 空気も川のせせらぎも驚く程に透明で、 黄葉は景色を鮮やかに、 近く、遠く彩っている。 夕陽も街の人々もとろけるようにあたたかく、 心がしんと澄んでいくような気がしました。
どこまでも青い空の下、 川原の南アルプスを望む露天風呂 (混浴で水着OK。川も温泉もみたことのないきれいな色でした) 合掌造りの隣の粋な小屋に、 まわりからみえそうな雑で低い石垣の中から 黄葉を見あげながら入る乳白色の湯。 あたたかい夕陽。 葉をいっぱい広げる秋桜群。
地ビール、岩魚、 紙すきもしたよ。 どこもかしこも静かでおだやかに豊かでした。 街の人々はあたたかく、 いっしょに旅行した仲間たちはとても親切でした。
今はまだ、 手に取るようにそれがみえます。 まだ、さめないうちにそれを伝えたい。 ううん。 ほんの少しでも見せてあげたい。 さわらせたい。 淡く甘いちいさな果実をわけあうように そんなこともこんなことも、 わかちあえたら、と夢描くのです。 手も、つなげないクセにね。
さっきより、 7センチ程、月が右に移動しました。 そちらはどうですか?
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