たまの日々

2003年08月21日(木) 曲者たち

今の会社に行くようになって1年と少し。
正式採用になって1ヶ月と少し。
初めの頃と比べれば、
解らないことはどんどん減って、
あののんびりとした社風にも違和感を感じなくなった。
新入社員や他部署のえらいひとからみたら、
すっかり溶け込んで何年もいるようにみえるらしい。
それでも、
社外で個人的にだれかと会ったりしたことはない。
プライベートで飲みにいったこともない。
だれとでも話せるけれど、
誰にも深入りさせない。
それは、切ない派遣社員の習慣。いままでは。
けれどこれからも、
ともだち、なんてできない気がする。
今の仕事だって、基本的にひとりでやってるんだし。

昨日色校を返し、明日には念校をチェック。
編集長は課長で、私の上司が他にひとりいるけれど、
私がどんなに長く休んでも、
私の仕事をかわりにやってくれることはない。
1ヶ月、約20ページ、
いろんな人に原稿を依頼したり、
自分で企画したりデータをあつめたり、
その他いろいろ細かい作業は私の担当だ、
私の上司は堅い内容の記事のとき、相談にのってくれたり、
ニュースのページだけはつくってくれる。

社内は基本的に同期と、
同じ仕事をする仲間たちでグループを構成している。
特に同期というつながりは強くて、
とてもうらやましい。
派遣上がりの私には同期と呼べる人はいない。
まあ従業員番号からいけば、
今年入社の22歳、新人くんたちが私の同期となるのだろうか?

派遣社員の私には、
同期と呼べる人はいなかった。
でも、こんな私でも同僚と呼べる人はいる。

大学卒業後正式採用になった出版社。
私はいちばん下っ端だったけど、
よく面倒をみてくれた1つ年上の先輩がいた。
彼はまだあの業界にいるらしい。
街ですれ違っても解らないかもしれないけれど。

彼と私の関係はすごかった。
私にとって彼は上司で彼にとって私は部下で、
プライベートで二人で飲んだことは一度もないし、
ケータイに相手の番号を登録することもなかった。
(必要な場合だって不便なことだってあったのに!!)
きっちりと線を引く必要があった。
なぜなら彼は私の考えていることを失礼なくらいよく解っていたし、
私もまた彼の考えることが気持ち悪いくらいよく解った。
こんな人間に出会ったのは初めてで、
お互いよくそのことで相手を不気味に思ったり怖いと思ったりした。
けれど、会社はどんどん傾いていって、
私たちの足場が狭くなればなるほど、
お互いの気持ちが解ってしまう。
こっそり泣いているお互いを、
他の同僚からかばいあったことが何度もあった。
言葉に出さなければ、
すごいふたりだったかもしれないのに、
解りすぎることが本当に嫌でよく反発しあった。
そんな彼は今どこにいるのだろう。
少しは私のことを覚えていてくれるだろうか?
友達ではなかったし嫌いだったけど、
彼ほどの同志はいなかった。
私はとても救われていた。

友達のいない、
性格の悪い私だけれど、
ときどき、
ものすごく私をなだめるのがうまいひとがいる。
理由はわからない。
私はそのひとたちをくせものだとおもう。
私のように根性のねじまがったやつを、
納得させるなんて本当にすごいひとだとおもう。
そして、
もうひとつ不思議なのは、
その曲者たちは決して私を友達にしてくれない。
だから電話もしてくれない、連絡もない。
そして、
偶然再会すると、
まるで会わなかった時間などないように会話が出来る。

彼らは今、どこで何をしているのだろう。
たまには私のことを思い出してくれるだろうか?

愛する曲者たちは、
どこで何をしているのだろう。



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