バイトが休みだったのでぶらりとF士本町(私の住んでる所の駅前通り)に出かけました。
髪を切ったのですがちょっとヤンママの子供みたいな仕上がりでした。 あの前から見ると普通なのに後ろにちょろっと伸びる毛はナニか?さながらなスタイル。 美容院の先生は「今年はマッシュウルフだよー!」とかわいいフェミニンなカットモデルの写真を見せてくれたのに… しかし切れてしまったものは仕方ないので、うさ晴らしに映画を見ることにしました。
映画館に入り、何を見ようか迷っていると突然声をかけられました。 「あの…すいません」 振り向くとそこには何とも誠実そうな短髪黒髪の男の人が、真摯な眼差しで私を凝視していました。 「…はい……?」 そのただならぬ雰囲気に私は戸惑い、私もまた彼を見つめました。すると彼は 「映画一緒に観てくれませんか…?」 と、ナンパされたことない暦21年の私にありえない提案を投げかけてきました。 そんな瞳孔フルオープンの私に、彼はしどろもどろに交渉を続けました。 「あの…金がなくって。今日カップルデーじゃないですか、だから…」 「あぁ…はぁ…」 つまり彼は毎週木曜日に男女一組2000円で映画の観れる、その制度狙いなのだ。 そりゃ私だってちょうど暇だし、観る映画も決まってはいない。 だがこの提案は尋常じゃない。き、気持ち悪い… いやしかし、こんな出会いがたまにはあってもいいんじゃないか? 何気ない日常から、劇的なドラマが今日だけシンデレラ的に始まっても いいんじゃないの神様? コンマ何秒の世界でこれだけの事を思い巡らせながら、私はそのシンデレラストーリーの一歩を踏み出しました。 「あの…何の映画ですか?」 すると今までの勢いとは裏腹に、彼は俯いて視線をそらしまるで素っ裸で放置プレイされたような恥辱的な瞳で 「あ……青の炎」 と呟きました。
私には彼の言わんとしている事が即伝わりました。 そうかオマエ… あやや狙いかよ!!
安心したやらがっくりやらホントやり場のない気持ちで、私はチケットを買い映画館の小部屋に入るまで彼と一瞬の恋人になりました。もちろん座席は別。 そして映画を見終わると、彼は涙目で爽やかな微笑みと礼儀正しい会釈を残してその場を去っていきました。 私のシンデレラストーリー、超特急で駆け抜けていきました。 <終>
上の文章で一つだけ今日本当にあった出来事ががあります。 さてどれでしょう。 正解は下へスクロール。 では、おやすみなさい。
正解:髪切った。
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