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りょうちんのひとりごと
りょうちん
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2007年12月06日(木)
Vol.706 父の医者嫌い

おはようございます。りょうちんです。

驚いたことに、父は今まで一度も健康診断を受けたことがないそうだ。自分で床屋を営んでいる父は、会社勤めの経験がない。ゆえに定期的に俺が強制させられている健康診断を、父は今まで受けなくて良かったのだ。理容組合で企画された集団健康診断はあくまでも任意だから、お墨付きの医者嫌いを通している父がそんなもの受診するはずがない。とても元気そうに見える父だが、カラダのどこかに病の影が潜んでいるかもしれないのだ。考えてみれば、今は奇跡的に回復した母が倒れた時も突然だった。これは一刻も早く父にちゃんとした検査を受けさせる必要がある。
調べてみると、俺が住んでいる場所でも市がおこなっている市民健康診断なるものがあった。医療機関で個人的に受ける人間ドッグとほぼ同じ内容の検査項目が実施され、かつ料金は格段に安い。タイミングの良いことに、近くの保健センターで企画されるのが半月後の予定である。さっそく俺は父に市民健康診断を受診してくるよう、話を持ちかけた。大の医者嫌いの父である。最初は激しく拒んでいたが、俺と母の懇願により最後はどうにか診断を受ける約束をすることに成功した。
だが。健康診断当日の朝、心配になって実家に電話すると。案の定、父はやっぱり行かないとごねていた。休みだった俺は急いで実家に帰り父を説得する。結局母の提案で、母の通院する病院で検査という口実で人間ドッグをすることで父は納得してくれた。費用はかかるが何もしないより良い。さっそく母が病院へ連絡するとその日のうちに検査ができるとのことなので、すぐに父を車に乗せ病院へ向かった。
付き添いふたりに連れられて、父は渋々診察室の扉を開けた。ここまでお膳立てされればさすがに観念したようで、あれだけ嫌がっていた採血もすんなり終わる。思ったより痛くなかったと父は笑った。そして2週間後に出た検査結果は、中性脂肪値がやや高めだが特に異常は認められないというもので、気休め程度の薬を処方されただけだった。父の医者嫌いには本当に苦労させられたが、これでようやくひと安心だ。でも実は、来週還暦を迎える父がいちばんほっとしているに違いない。