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【沙亜子はいまだ、水の中】





◆ 露休みの太陽がそう言っている



ダメ出しの電話がかかる
寮生時代の誘い
とりあえず、忙しいからと言う安直な理由を述べる
が、引き下がらない
でも、仕事だから!と、嘘を言う
やっと相手も引く


想像して欲しい、大人なんだから
あなた達に会いたくないからと、
本音を言わせないで欲しいと、勝手を願う



案の定、彼女の口からは
「あの頃は楽しかったよねー」を連発
あの頃は楽しくても、そんな気持ちは今はない
今が精一杯
今に夢中
昔なんて色褪せるくらい


"あの頃"しか語れないなら、私を呼ばないで欲しい


あの頃の自分なんて不自由だらけ
自由に生きる方法なんていくらでも知っていたのに
いつでも自分は後回し
周囲が幸せじゃないと自分が安定しなくて
周囲のために翻弄してた
悩んでる人をほっとけなくて、睡眠時間も削ってた




気がつくと、自分を置いてけぼりにしてた
自分を幸せにしようとしてなかった
他人の不幸の前に、
自分の幸せを感じちゃいけないと思い込んでた
自分の感情が残ってない
自分がいない
記憶はあるのに感情の存在がない


靄がかかってる
曇りだ





そうだ
あなたたちが悪いんじゃない
自分がしてきたこと
それがすべて
したいようにするという意味を履き違えた自分の問題



確かにあの頃の自分も精一杯だった
頑張ってた
でも楽しくなかった
誰といても楽しくなかった
誰のとも好きではなかった
でも、人を嫌うなんてことをしてはいけないと思ってた
楽しくなかった
楽しいって感情の意味、知らなかった





だから消す
過去しか口に出来ない人々を




今を語れる人ならね
今の夢中を語れる人なら
付き合えるのよ




でも残念
ここでお別れ
いつもでも旧き良き時代しか語らない貴方達


あの頃から成長しない私しか認めない貴方達







◆◆◆

「変わってるよね」
何度言われてきたことだろう
想像力のない、その言葉
相手を理解しようとする心を遮断する言葉




皆、簡単に使う
恥ずかしげもなく


恋愛のドラマを見ないというだけで、
まるで珍獣を見るかのように言われた


「じゃあ、『世界の中心で〜』なんか嫌いなの?」
「嫌いとかじゃなく、興味がわかないだけ」
「そんな人いるんだー、変わってない?」


そーいぅー時は、
「変わってる」という言葉じゃなくて
「そういう人もいるかもね」と言うべきじゃないのか?
配慮のない言葉使い


でも、そんな人のほうが多い
その事実に安堵しているのも事実
安直さがいい
自らの足りなさも許してもらってる感じがして
そんなことはない、
そんなわけはないのだろうけど




決め付け感覚の強い人は、
頑固で自分の感覚に妄信してる傾向がある


時々、ふっと冷めて行く
とてもプライベートまで共有したくないと思う
なのに、この仕事仲間で遊びに行こうという話が出る
かなり強引に誘われる
「何で行けないのよ?!」
行かないと言う私は責められる


ああ、無邪気で小さな子供のように言えたらいいね




「これ以上、一緒にいたくないからよ」と






心が違うと言っている
触れ合うものがないと言っている
重なる点がないと言っている
我慢は誰のためにもならないと言っている





これ以上、時間の無駄遣いはしたくない
時間は限りある資源ですから
大切に、大切に使うのだ






露休みの太陽がそう言っている










2004年06月19日(土)






   


   

      は




     ま

  


 

の        
 
   




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