妄想暴走オタク日記
♪アルファルトは大地そしてこの僕達の滑走路♪
「…とはよぅ歌ったもんやけど、まさかホンマに帰って来れるとは思わんかった」 と、ドアを前にしたコウムラは言った。船が難破して見知らぬ島に漂流した時に、本当に覚悟をしたのだ。もう日本に戻る事はないかも知れない、と。 諦める事はしなかったけれど、それでも何度かメゲた。悟られないように、出来るだけ去勢を張りながら、内心で自らを責めた。自堕落に生きている奴らが嫌いで、性根を叩き直そうと海に駆り出して。けれど改めて、海の怖さを思い知らされたような気がしたのだ。コウムラの誘いで付いて来たシュンジ、ケン、リンタロウ、ソウスケ、コレキヨ、そしてトクマ。誰か一人でも失えば、それは自分のせいに違いない。だから、日に日に逞しくなる彼等が、自らの意思で帰りたい、帰ろうとする姿が嬉しかったのだ。いつしか「仲間」と呼べるほどになっていた彼等全員との無事の帰還を、本当に幸運に思う。 鍵を開けて、内に入ると長い間留守をしていたせいで、換気の悪い室内はすえたような匂いを孕んで。ソファには脱ぎ散らかしたTシャツ、テーブルの上の皿やコップは、乾いてカピカピになっていた。 「…あぁそうや俺、あの日寝坊してバタバタ出て行ってもぅたから」 コウムラの視線の先を読んだのか、当たり前のように背中からひょい、と顔を出したトクマが言い訳をするように言った。無事港に着いて、それぞれがそれぞれの家の方向へ、手を振りながら歩いて帰るのに、トクマだけがコウムラの背中を追った。たまたま方向が一緒という訳ではない、ここを出発した時も、そうやって、道順を共にして家を出て来たのだ。 「おまえはいつもそうやろ。大事な日ほど寝坊する」 「そんなん言うて、前日は夜遅ぉまで仕事やったんですよ。お客さんが泥酔してもぅて、タクシー呼んだり、大変やったんですから」 言いながらさっさと皿を重ねてキッチンに運ぶトクマはすっかりリラックスムードで。ジャー、と水の音が聞こえたのはとりあえず、汚れの張り付いた食器を水に浸しているのだろう。すぐに出て来たトクマはその足でソファに近付き、散乱した衣類を片付け始める。そうしながらふと、気付いたように顔を上げた。 「…あ、そや風呂張らな。疲れて帰って来たんやから、まずは風呂ですよね」 バタバタとドアの向こうに姿を消すのをぼんやりと見送ったコウムラは、ふと、立ち尽くしている自分に気がついた。 今、地に足をつけて立っているのがまだ少し不思議で。昨日まで長い航海をしていた。あの時、流れ着いた島は地図にも載っていない小さな島で。そこから日本まで、長い時間をかけて戻って来た。それでなくとも島での滞在中も、様々あって。 ドアの向こうから水音が聞こえてきた。トクマが風呂を沸かしているらしい。バタバタと忙しない足音がして、恐らく放置したままだった洗濯物にも気付いて、顔を顰めているに違いない。 トクマは。今、落ち着いているように思える。 この家を出る時に既にその体内に巣食っていたもう一つの人格と、向かい合うという作業は想像以上に、辛いものだったに違いない。一度は死を望んだトクマを、叱って諭してまた、ここに連れ戻してしまった。それが正解だったのかどうか、コウムラには分からない。もしかしたら自分のエゴなのかも知れないとも思う。俺の為に生きてくれだなんて、随分と傲慢な言い分だと思った。 けれど、他にどう言えただろう。自らに絶望をしたトクマに、コウムラは、ただ生きて欲しかった。側にいて欲しかったのだ。 バタバタ、と騒がしい足音がして、トクマが戻って来た。 「コウムラさん、もぅ少しで風呂沸きますから。先入って下さい」 船上ではゆっくり風呂に浸かる事も出来へんかったんやし、何はなくとも風呂っしょ?と笑いかけてくる今のトクマは今までのトクマと何も違いはなくて。錯覚をしそうになる。自分達は何も変わってはいなくて。…これからも。 けれど、変わったものは確かにある。コウムラは知ってる。 「おまえも来いや」 「え?」 「疲れとるんはおまえも同じやろ。面倒やから、一緒に入ろう、言うとんねん」 コウムラの言葉を一瞬、ぼんやりと反芻したらしいトクマは意味を理解して大きな瞬きを二回。それからはい、と相好を崩して笑った。その顔が、コウムラの欲目でなければひどく幸福そうに見えたから。
もっと、優しくなれそうな気がした。
▼23:42
早稲田勝ちましたね〜! 何をかくそう今夏は斎藤君に夢中だったわたし(笑)青ちんに言ったら「ブサカワじゃないのに!」と驚かれたんですが、失敬な、自分では面食いのつもりだ。いやもー早稲田ブランドのせいですかねー笑い方も上品で、マウンドで汗を拭く時もいっつもきちんと三つ折されたタオルで押さえるように拭う訳ですよ!シュッとしてる〜!と浮かれてたら細かいねと言われましたが…だってオタクだもん…。(理由になってませんな)
とにかく早稲田実はおめでとうございました! 駒大苫小牧もお疲れ様でした!もぅ両校優勝でもいいぐらいじゃないかと思った…でも高校野球だからこそ、決着を着ける事に意味があると思います。同校優勝って、鹿実(サッカー)の時思ったけどやっぱりもにょもにょするんだよね。
と、言う訳で現実?に戻りまして穴穴小話。 …は、もはや原型の遠い同棲萌えな訳ですが…正直この後に続く風呂場濡れ場が面倒臭くて投げました(ぇ)。夏だけど暑いものは暑いんだよ〜!と思うわたしは随分年を取っている…まぁいい。でもこの後が書きたかったりもするので続くかもしれません。が、続かないかもしれません。とか書くから最近すっかりどエス呼ばわりのわたしなんですが、それもまぁ、いい。だって全てが気まぐれなので、自分でも萌えのコントロールは出来ないのです。なので長編に向かないんですが…そんなこともまぁ、どうでもいい。
同棲説を推してから、それがさもしっくり来ているのが不思議です。 会話とか考えるのが楽しい。個人的に元来のトクマは器量よしだと思っているので、こまごまやってくれそう。気も利くと思うので、そらコウムラは手放したくない筈だよ(笑)!とか夢を見たり。これでソッチの器量もよければ余計に…とか書くとただのエロオヤジっぽいので割愛しておきます。いや、そうは言っても雛ちゃんなのでいいと思いますけど!
今日は横担のAさんからメールを貰って、全編を通してトクマに対して「傍観」の姿勢を取るコウムラが横雛のそれに被る、と言われてそうそう!と思いました。わたし、何度かこの日記で書いたような気がするんですけど、例えば雛の調子が悪くても、横は倒れるまで放置するだろうと思うんですよ。手は出さないでその代わりじっと見てる。放任主義ともちょっと違うのかもだけど、それが例えば雛が一番望む事だと思うので(仕事に関して、止められるのは本意ではないと思う)そうするであろう横ちょが理想です。例えばそれが、未然と最悪の違いで、広い目で見れば間違った事だとしても、雛はやりたがる気がするし、横はやらせたがる気がします。ただ、逆も同じかって決してそうは思わなくて、雛なら早い段階でフォローを入れる気はするかな。風邪気味なんやから今日はまっすぐ帰れ、とか。聞いた上で言う事を聞かなかったのならもぅ知りませんが(笑)
Aさんの例え話で、雛が暴走(レアアイテム)した時の横のスタンスとして、とりあえず声は掛けるけど見守るスタンスですよね、と仰っていて。で、そんな時には他面も横を頼りがちだという。昴よりもそういう時は横かなぁって。まぁ、昴の場合は一緒に乗っかってしまう危険もあるんですが(笑)。そこらへん、横雛はどっちかの悪ふざけが過ぎる場合は自然、どっちがが素に戻れるのがいいなと思います。だって…ないよね?横雛で暴走して昴が止めるパターンとか…。それはそれで、見てみたいような気もするけど。
何が言いたかったんだろ。一旦送…信は自粛してるんだった(笑)
その前に拍手お返事。
8/20 ◎11時/横見さんへ ●わ〜どMの横見さんだ(笑)!いや、だから言ってるじゃないですかーSじゃないですよ(笑)!という訳でこちらこそ先日はありがとうございましたー!18日はゆっくり御覧になれたそうでよかったです♪出航のシーンは、本当に毎度気まぐれみたいで(笑)オタクがその気まぐれにどれだけ一喜一憂しているかなんて知らないんでしょうね〜。ふと視線を向けたコウムラの視界の中でぼんやり宙を見ているトクマ、というのもまた有りだと思うんですが、わたしが見た回のトクマも微妙な表情をしていて、それは安堵の中にまだ不安が残っているような、複雑な表情をしていて、そんなこんなを勝手に妄想で固めたのが小話だったんですが…(笑)救われた、と言って頂けてわたしが救われました。嬉しいお言葉をありがとうございました。いや、語りはしますよ!だからドSじゃないですー!失敬な!…たぶん(笑)
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