2002年07月31日(水) |
夏と花火と私の死体/乙一 |
そうとう面白かったです。 これが著者のデビュー作だなんて、すごいです。これが17歳の書く文章かと思うと背筋ぞくぞくします。こういう方もいるのですね。 この本には、「夏と花火と私の死体」「優子」が収録。 「夏と花火と私の死体」、この話は、死体を人の目から隠そうとする兄妹の話。 しかも、この話って殺された子(つまり死体自身)の一人称で書かれているんですよね。その微妙な違和感と、死体隠蔽しているという陰惨な行為のわりにちょっと笑いを誘われる流れが、とてもよいです。絶品。 子どもって残酷で、ずる賢くて、それでいて自分が大人から庇護されている存在だという自信があって、天使で悪魔な存在ですよね。
(前略)三人の罪深い人間は静かに微笑んでいた。 自分たちにやって来るはずの未来に、自分たちから去っていった子供の日々に……。(「夏と花火と私の死体」)
乙一:夏と花火と私の死体,p.142,集英社.
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