2009年11月01日(日) |
信長あるいは戴冠せるアンドロギュヌス(ネタバレあり) |
文庫裏書きから引用----↓ここから
1930年。ベルリン滞在中のアントナン・アルトーの前に現れた日本人青年は、ローマ皇帝ヘリオガバルスと信長の意外なつながりを彼に説いた。 ふたりはともに暗黒の太陽神の申し子である。そして口伝によれば、信長は両性具有であった、と……。 ナチ台頭期のベルリンと戦国時代の日本を舞台に、伝承に語られた信長の謎が次々と解き明かされて行く。第11回日本ファンタジーノベル大賞受賞作。
---引用終り
やっと読み終わりました。 中々難解な箇所とかもあって、読んで休んでの繰り返しで、一ヶ月以上も掛かってしまいました。 アルトーって人は実在の人物で、この話の元ネタはアルトーが書いたヘリオガバルスの本だそうですけど、そちらを読んだ事がないのでちょっと分からない所もありました。 まあ要するに、ヘリオガバルスも信長もエイリアンだったんだぞ!って言いたかった作品なのかな…、と自分は理解しました。 古代オリエントの神話からキリスト教やら仏教やら神仏習合やらが交じり合って、妄想がてんこ盛りの怪作です。 ファンタジーだったのか伝奇だったのかSFだったのかさへも分からん作風。 自分は結構面白く読んだけど、人によっては受け付けられないって人もあるかも。
両性具有の信長は中々蟲惑的だったけど、男性作家さんが描くアンドロギュヌスってやっぱ女性的になっちゃうんだな、と感じた。 個人的好みとしては男性性の強いアンドロギュヌスのが萌えますです。 その美貌で次々と家臣とかを誘惑してく信長ですが、その辺りは佐藤賢一著「女信長」の印象と重なるイメージ…。 信長はライバルの戦国武将を呪殺してくんだけど、その圧倒的魔王的描写はミラージュの信長と重なってしまった(^^ゞ。 それから、信長と同じく魔人的に描かれていた光秀に惹かれました。 ユダ=光秀だったよ。 ああ、これも何かミラージュ的だなあ(笑)。 もしかして、この作家さん、ミラージュを読んでた、何て事はないよな〜?
ちなみに、ライトノベル読んでる人のが、この作品は読みやすいかもな、とも思ったです。 それから、信長はやっぱ攻のが、個人的には好きです。 あと、一番楽しかった箇所はやっぱり戦国時代の場面かな。 大河の「風林火山」を見てた人は楽しめると思うよ。
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