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■ カレンダーをめくる
昨夜、眠る前にベットにあがり、カレンダーをピリッと一枚めくった。 今年は、ハンス・シルべスターという写真家の「ギリシャの猫」という シリーズのものを寝室の壁に掛けている。月めくりの暦。
外国の写真家のカレンダーなのに、月名は陰暦を使用している。 昨日までは「弥生」、今日から「卯月」と記されている。 地中海の白い石塀の上に、牛ネコと茶トラ猫が向き合っている写真。 うすっぺらい紙を一枚めくっただけなのに、部屋の雰囲気が微妙に変化する。
今朝カーテンを開けたときに、カレンダーが掛けられた壁に差し込む光を見て、 「ああ、昨日とは違うのだ」と感じた。あたたかな朝日の中で、そう感じた。 茶トラの子猫の、ぴんと立った両耳は、どんな音をとらえているのだろう。 季節の足音か、牛ネコの求愛か(笑)
ちなみに、去年はサン・テグジュペリが最期の飛行に出る前の横顔を撮した 大判の一枚カレンダーを貼っていた。しかし、コレ、月名も曜日もドイツ語で、 おまけに休日もドイツ仕様だったので、ぜんぜん役に立たなかった。 なので、私は毎日、飽きもせずサン・テグジュペリの横顔を眺めた。 飛行の時に着用するマスクの痕が、彼の口のまわりに丸く残っていた。
去年のわたしの親密な同居人よ。 そなたは過去になれり。
カレンダーをピリッとめくると、心の皮も一枚、ピリッと剥がれ落ちる。 これを、キモチの脱皮と呼んでしまっては、都合が良すぎるだろうか。
2002年04月01日(月)
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