月のシズク
mamico



 メトロポリタン美術館展レポ

ニッキ、またもや放置プレイ しておりました。スミマセン。
ええ、元気にやっております。ハナ垂れ小僧ではありますが、至って健康な日々。
さてさて、美術展の勝手なレポをば(単なる独断の箇条書き、とも云う)。

■渋谷東急本店横の Bunkamura ザ・ミュージアムで開催中のメトロポリタン美術館展。
 去年の夏、N.Yで観てきたにもかかわらず、再訪。だってオイシイ絵ばかりが
 ご来訪なさっているんですもの。珠玉のコレクション、その数72点ナリ。

 会場に入る前に、一緒に行ったトモダチにも課題を出す。
 ズバリ「アナタの部屋に飾りたい一点を見つけだすべし」というもの。
 美術館の広い空間に鎮座ましますその姿は、どれも威厳と存在感があるけれど、
 自室の壁に飾るとなると、その小さく、ごちゃまぜの空間に見合うものは希少。

■青で描かれたピカソの「盲人の食事」は、視覚の代替の触覚を司る手の存在
 が大きくて、食堂に飾ると一気に食欲減退してしまうだろう。
 ダイエットには効果絶大、かもしれないが。

■ドランの「テーブル」は、室内の暗さと、開かれた窓の外に広がる海の光が
 好対照を成している。緑の木々に面した、二階の窓の側に置くといいかもしれない。

■寝室に似合うのは、フェリックス・ヴァロットンの「花のある静物」
 中央に赤のクロスを張られたテーブルがあり、青紫の紫陽花が美しい。
 その背後には、中国風の掛け軸があり、静かなる東洋美が描かれている。

■メッサンジュの「馬術師のいるサーカス」は、豪奢な応接間か、古い洋館の
 階段の踊り場に飾るといいかもしれない。いずれにせよ、ちょっと黴臭くて、
 暗い空間でこそ、その絵の力が発揮される。描かれた白馬とエルメスのような
 オレンジ色の馬具、中央に陣取る女性馬術師(アルルカンにも見える)は、
 童顔ながら、丸く豊かなふたつの胸を持ち、鮮やかな色の衣装に包まれている。
 この絵には、その色の魔力が浮き立つような空間が必要だ。

■私が自室に飾りたい絵は、やはり最愛のボナールの絵かもしれない。
 人々が集いお茶を催す「ヴェルノネの朝の庭」には、不思議な親密さがある。
 白いテーブルの上の果物、芝生のエメラルドグリーン、道に立つ黒い犬。
 鏡の中に映る女の日常を描いた「化粧室」も、いやらしさのないのぞき見を
 描いた絵だ。ベットカバーと同じピンクの柄のテーブルクロス。引かれた
 鮮やかなグリーン色には、光のあたたかさすら感じる。

■番外として、気になった作品群。 
 マティスの「ノノ・ルバスク」の少女は、小島聖に似ている。どことなく。
 シャイム・スーチンの「エイ」。ピンクの肉体から流れ出る内蔵のエイ。グロテスク。
 バルティスの「目を覚ましたテレーズ」の、スカートのひだと、投げ出された 
 白い膝の色っぽさ。少女の肌の質感と、洋服の質感が清純なエロティシズム。
 同じくバルティスの「夏」と「山」。わざとらしいポーズ。杖を抱いて横たわる
 少女の不自然さ。アニメのような表情。違和感と異質感、それに摩訶不思議感。

■そして、私は(本当に寝室の壁に飾るために)ボナールの「古い港の眺め、 
 サントロペ」のポスターを買ってしまった。明るいベージュ色の建物の間に
 のぞく波止場の風景。白い壁の小さな寝室に飾ると、朝が待ち遠しくなった。


2003年02月03日(月)
前説 NEW! INDEX MAIL HOME


My追加