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■ 世界文学全集
あたし世代の多くは、この「全集」や「百科事典」が家にありました。 とはいえ知的なインテリア扱いでもあったようで、最初の配本以降一度も開かれることなく、書棚のこやしになっていくのが常だったようです。
ウチは引越しが多い家庭だったこともあり、とにかく荷物は少なくが鉄則で、お雛さんも皐月飾りも、無論全集の類も一切ありませんでした。 お余所に遊びに行くたび、ずらり並んだ化粧箱入りの子供向け文学全集が羨ましくてしかたなかったですねえ。
割と一生懸命読書するようになったのは、中学生になってから。それまでは遊ぶのに忙しくて、最後まで読み通した本は数えるほどしかなかったと思います。
お小遣いで本を買うことを覚えてからは、独自路線を開拓しつつ、田舎町の書店の品揃えに早くも限界を感じていました。 図書委員をしていると、自分の好みの本を取り寄せに加えられる特権があったので、今思ってもずいぶんムチャなリクエストをしましたねえ。 まだ蔵書があるのかしら、ごめんよ後輩諸君;
全集が何セットでも大人買いできる社会人になってから、改めて文学全集の内容を検分してみると、おっそろしいことにほとんど未読でした。舶来も国産も、いわゆる「名作」と呼ばれるものの多くをスルーしたまま。余程のことがなければ、一生未読で終わりそうな予感もします。
作家・池澤夏樹が個人編集する「世界文学全集(河出書房新社)」が話題になっていて、最近いろんな書評に取り上げられています。 これまでのラインナップと違い現代文学中心に編集されていて、初めて耳にする作家も少なくありません。
池澤さんは自著「ブッキッシュな世界像」などで、幅広い読書歴を披露していますが、この全集はまさにそういった蓄積と趣味の、夢の合体版と言えそうです。
ワタクシ的お楽しみは、第二期第十二巻という大トリを務める、池内紀翻訳の「ブリキの太鼓」ですわね。 誰にもある種、オスカルのように時間を止めて悲鳴を上げ続けてる部分があるでしょう。 戦後ドイツ文学の傑作、楽しみ、楽しみ♪
蛇足だけど、声優の池澤春菜は池澤夏樹の長女であります。 先日お父さまが紫綬褒章を受章され、いやめでたきかな。 この件について春菜嬢の感想は「カラー配分が戦隊モノのようである。是非”桃”も作ってもらいたい」だそーです。
ガンプラ王で格闘技ファン、お料理が得意なギリシア生まれ。 池澤さんの最高傑作は、案外お嬢のような気がしてきたわ(笑)。
2007年11月09日(金)
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