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バーボン先生のピアノ教室 - 2004年07月08日(木)

今日は僕が通うピアノ教室で知り合った
バーボン先生の話をしよう

バーボンというのはただの芸名で
ほんとは斎藤という

なぜバーボンなのかは
まだ入ったばかりの僕には
教えてもらえない

「教えてくださいよ〜」
なんてサービスゼリフも
一応吐き出す

バーボンは指が短い

何故ピアノの先生になれたかと言うと
実家がピアノ教室だったからだ

こないだ
エリーゼの為に
を弾いた

指が思うように動かず
恥ずかしい出来だった

落ち込んでいる僕を見て
バーボンは笑顔でこう言った

「顔には57の表情筋がある
 しかし、そのほとんどを人間は使えないそうだ」

「あなたの指はまだまだ豊かではないが
 指の前に、
 あなたの顔はとても豊かな表情を持っている」

僕は黙って聞いていた…

「僕からあなたへ
 ピアノのうまくなる為の
 宿題を一つ出そう」



「起きてる間でいいから
 1時間に、1回」

「誰かに笑顔をしなさい」





半年が経った

僕はとっくにピアノ教室をやめていた
理由はただ、飽きっぽいからだ

バーボン先生はと言うと
資金繰りが困難になり夜逃げしてしまったらしい

バーボンの由来も分からず終いだ

結局ピアノはうまくならなかったけど
バーボン先生には、何か他の大切なものを
残してもらった気がする

宿題は今でも実行している






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