2002年05月05日(日) |
Sunday Lunch Party−英国人の家庭料理 |
今日は、イギリス人の熟年世代のお友達パット(正式にはパトリシア)のお宅に呼ばれて、ブリティッシュ・サンデーランチパーティーを体験してきました。 パットは小学校の校長先生を去年リタイアして、うちの大学のアートヒストリーに社会人入学したという立派なワーキングウーマン。
イギリスに来て、9ヶ月。大学の寮にしか住んだことのない私は、いわゆる英国人の家庭料理というものは食べたことがなかった。エッセイ終了後、体調も悪かったので、行くのもつらいなあ・・・・と思っていたが、パットが「もう、このパーティーに来なかったら、あなたとは二度と口を聞かないから」などというほど張り切っていたので、ことわることができるはずもなく、行ってきました。
まず、食前酒に何を飲むかと聞かれ、ウォッカ・トニックを作ってもらう。その他、リビングのキャビネットにはお酒のボトルがびっしり。私の父も好きなグレンフィディックの12年ものもあり、それを話すと奥の部屋においてあるご主人のモルトウィスキーのコレクションも見せてくれた。
パーティーのメンバーは、パット、ご主人のアラン、娘のサラ、そのご主人のハイコー(馬みたいだけどドイツ人なので)、二人の息子のティムとマット。そして、パットの息子のサイモン(テレビ局に勤めていてサッカーゲームの取材に忙しく、ランチが始まる前に出勤していった)、その妻のジョージと二人の息子のビリー。 と、私と他ふたりの日本から来た留学生。
総勢11人がテーブルにつき、食卓の上にはローストビーフをはじめ、オーブンから出したばかりの数々の料理が並んだ。その家庭料理は一言で言うと、「今まで食べたイギリス料理の中で一番おいしい」。イタリアでもそうだったけど、料理の上手い人が時間をかけて特別に用意した家庭料理というのは、たいがいそこらのレストランをしのぐのだと思った。イギリス料理もちゃんと作ればこんなにバラエティーもあり、美味しいんだということを実感して、そんなに悪くないかも、と考えを新たにした。ただ、日本やイタリアと違うのは、その美味しいものに当たる確率が低いっていうことかな?
食事をしながら、いろいろとおしゃべり。ハイコーは翻訳の会社のプロジェクトマネージャーで最近はDisneyのMonster,Incを英語から他の数ヶ国語に吹き替えをする仕事をしたという。今年の秋からは、翻訳を勉強しようと思っている私はその話に思わず興奮してしまったが、吹き替えの俳優のギャラが一時間何十万円もするとか、世界中から人を呼んで、タイムスケジュールを組むので、日程が狂うと責任重大だとか、「ものすごく忙しい仕事で、緊張の連続だよ、報酬も大きいけどね」という彼の言葉に、自分はそんなところではとてもやっていけそうにないなあと、恐れ多く感じた。
食事の後はデザート、美味しいんだけど、パーティーに呼ばれるたびにこんな食事をしていたら・・・これは太って当たり前でしょう? というボリューム。 シュークリームの山のチョコレートがけ(フランスのお菓子なんだけど、何て言うか忘れてしまった)、と60cmくらいはありそうな、長方形のパイをみんなでまた食べる。
イギリス人は紅茶というイメージがあるけど、実際、イギリス人はコーヒーの方が好きな人が多いようで、ここでも、私とジョージだけが紅茶で、他の人はみんなコーヒーを飲んでいた。
パットの娘のサラは、とてもよく出来た人で、少し話すだけで、彼女の知性と優しさが感じられた。パット自身、完全なマイノリティーである私たち日本人学生をいつも気遣ってくれ、英国の文化を教えてくれようと一生懸命になってくれている、とても素晴らしい人なのだが、やはり、その娘のサラもパットのその雰囲気とアランの落ち着きを併せ持った感じのキャラクターで、こんな感じのいい女の人には、会ったことがないかも、というくらい、雰囲気がいい。親子というのは恐ろしいなあどうしても、似てしまうものかと思ってしまった。
サラのご主人のハイコーも(彼はドイツ系ユダヤ人で、15歳までにドイツ、コロンビア、アメリカに住んだ経験があり、今でもこのドイツ・スペイン・英語の三ヶ国語はネイティブ並に話せる!!翻訳の仕事は彼のような人には向いていると思った)とても、ジョークが冴える頭のきれる人で、こんな旦那さんだったら頼れるだろうという感じだった。二人はベルギーで働いていたときに知り合ったそうで、(サラは、イギリスの大学を卒業したあと、アメリカとベルギーで働いてた!) 世界中どこであろうと、いい女はいい男と結ばれるのかなと思った。
英国人の集まりにいくと、そこにいつも壁を感じるのだけれど、パットの家族は、外国人だから・・・ということで壁を作るのではなく、興味を持ちながらも普通に接しようとしてくれたのが、良かったようだ。
|