ずっと マニキュアを塗るのは好きじゃなかった。 亡くなった母は、とてもおしゃれな人で、いつも綺麗にお化粧して そして控えめな色のマニキュアをしていた。 それをするのをとても楽しんでいた。
学生の頃、わたしは吹奏楽部に入っていてフルートを吹いていて 卒業してからも楽器に触れることも多く、絵を描いたり タイピングの仕事をしたり…と、指先を使うことが何かと多く マニキュアを塗ると、爪が重く感じられて好きじゃなかった。 今でも爪は、あまり長く伸ばしていない。
それが昨年、街中で、素敵なピンク色のマニキュアと出逢った。 淡い桜貝のような、それでいて虹色の光を放っていて 思わず立ち止まって、見つめてしまった。
さりげない自己主張――。 それがなんとも素敵だった。
それからいろんなピンクのマニキュアと出逢ったけれど やっぱりこの「桜貝」が一番のお気に入り。
お友達に逢いに行くとき 娘と遊びにでかけるとき ひとりの時間のとき
決して特別な日というわけじゃないけれど、そんな日の 前の晩にマニキュアを塗る。
大好きな音楽を聴きながら、ゆっくり爪に塗る。 そんなひとときが、とても大切で楽しかったりする。 楽しそうにマニキュアを塗っていた母の顔を思い出しながら…。
そして何だか嬉しくなっちゃうのは―― コーヒーカップを持つとき キラ★ 買い物をしてお金を払うときに キラ★ 風が撫でていった髪を、さらっと直すとき キラ★
そんなふうに指先が光ること。
きっと自分だけしか気がついていないことだろうけど いいの。 何だか楽しくなるから。
ね? こういうの ちょっと いいでしょ。
|