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「槞梛俚庵(るなりあむ)


時折綴

2002年11月17日(日) 落ち葉の布団

急に冬が来たような冷たい日が続く。
わたしは冬が大好きで、寒いのはなんともない。
冬の凛とした大気が、心地よいから。
冷たい空気を深く吸い込むと、胸の奥まで冷たさが染み渡る。
「生きてる…」
そう感じる。

急に厳しくなった冷え込みで、紅葉が加速した。
わたしの家の周囲にある、たくさんの木々も急いで色をつけ始め
今は赤や黄の落ち葉が絨毯のように、歩道を埋め尽くしている。
かさかさ… と、落ち葉を踏みしめて歩くのが嬉しい。
楽しい。
木々の優しいにおいがする。

家の前が公園なので、たくさんの落ち葉を集めて、
木の根元にかけておいたりするのだけれど、
ここの地区の自治体が、お掃除の人を頼み、或る日突然
そっくり消えてなくなっていることがある。
むき出しのアスファルトを見て、とても寂しくなる。
落ち葉たちは大きな袋にまとめられて、ゴミ集積場に積まれて…。

落ち葉は、木々や冬越しをする虫たちの温かいお布団。
せめて少し残してやるわけにはいかないのかな…。

娘が小さいときは、よく近所の子供たちやママさんたちと
ヤキイモをして楽しんだ。
けれど、みんな大きくなったり、引っ越して行ったりして
それもやらなくなった。

美味しく焼けるまで、みんなで温かい橙色の火に
かじかんだ手をあてて、楽しい話をいっぱいした。
あのときの橙色の可愛い手を、思い出したりする。

幼い頃、学校から帰ってくる途中に、近所のおばちゃんが焚き火をしていて
 「おかえり。寒かったでしょ? 少しあたっていったら?」
よく声をかけてくれたっけ。

無用の長物としてしか見られない落ち葉

せめて写真に美しく残しておいてあげよう…。


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冰月まひな [MAIL] [HOMEPAGE]