急に冬が来たような冷たい日が続く。 わたしは冬が大好きで、寒いのはなんともない。 冬の凛とした大気が、心地よいから。 冷たい空気を深く吸い込むと、胸の奥まで冷たさが染み渡る。 「生きてる…」 そう感じる。
急に厳しくなった冷え込みで、紅葉が加速した。 わたしの家の周囲にある、たくさんの木々も急いで色をつけ始め 今は赤や黄の落ち葉が絨毯のように、歩道を埋め尽くしている。 かさかさ… と、落ち葉を踏みしめて歩くのが嬉しい。 楽しい。 木々の優しいにおいがする。
家の前が公園なので、たくさんの落ち葉を集めて、 木の根元にかけておいたりするのだけれど、 ここの地区の自治体が、お掃除の人を頼み、或る日突然 そっくり消えてなくなっていることがある。 むき出しのアスファルトを見て、とても寂しくなる。 落ち葉たちは大きな袋にまとめられて、ゴミ集積場に積まれて…。
落ち葉は、木々や冬越しをする虫たちの温かいお布団。 せめて少し残してやるわけにはいかないのかな…。
娘が小さいときは、よく近所の子供たちやママさんたちと ヤキイモをして楽しんだ。 けれど、みんな大きくなったり、引っ越して行ったりして それもやらなくなった。
美味しく焼けるまで、みんなで温かい橙色の火に かじかんだ手をあてて、楽しい話をいっぱいした。 あのときの橙色の可愛い手を、思い出したりする。
幼い頃、学校から帰ってくる途中に、近所のおばちゃんが焚き火をしていて 「おかえり。寒かったでしょ? 少しあたっていったら?」 よく声をかけてくれたっけ。
無用の長物としてしか見られない落ち葉
せめて写真に美しく残しておいてあげよう…。
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