『女か虎か(The Lady, or the Tiger?)』 |
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2003年03月10日(月)
昔、ある国でのこと。 そこでは、裁判の代わりに『女か虎か』という方法が採られていた。 被告人は闘牛場に引き出される。目の前には、扉が二つある。彼はどちらかを開けなければならない。片方には猛虎、片方には美女が待っている。審判は運命に任される。虎を選べばどうなるのかは自明だ。 別の扉を選んだら、救われる。神により無実という審判が下されたことになる。死どころか、逆に美女を得ることが出来るのだ。ただし、否応無しに彼女と結婚しなくてはならない。 ある美青年が、この国の女王と恋に落ちる。王族との恋愛はタブーである。青年は、裁きの場に引き出された。そこで、臨席する王女を見る。彼女なら、どちらの扉が「正解」かを知っている筈だ。事実、王女は知っていた。どちらかが「美女」かを。また、その「美女」が、不遜にも前々から自分の愛する男に意味ありげな目を向けていた娘だ、ということも。 男のすがりつく視線に王女は一方の扉を示した。男は開けた。 --------ここで話は終わる。 ※北村薫さんの「走り来るもの」の中に書いてあった フランク・R・ストックンさんのアメリカ短編小説より。
********************************************************************* これはリドル・ストーリーと呼ばれるジャンルで、起承転結の「結」を示さないモノらしい。つまり、結末を読者にゆだねるのだ。 私はこの前、そんなジャンルがあることを初めてちゃんと知った。
この文章を読んで考えた。 私はどっちを教えてあげるだろうか、どっちを教えてあげたいだろうか?! 本を読み進めると、こんな感じの事が書いてあった。 もし王女が虎を示し、それを裏切りとするならば、王女を見上げた青年はどうなのか。生(生きること)を望み、見上げたのなら、その時点で彼女を裏切ったことにならないのか?と。 私は、これは彼をどれだけ愛していたかによるのかなぁ…と思ったけれど、結局結論は出ていない。 今日は、皆さんはどうですか?と、聞いてみたくなりました。笑
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