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2006年06月22日(木) 悲しい出来事

大好き。6月20日、
実家のクロ助が天国に旅立った。


あまりにも突然の出来事で…。




夜の9時過ぎ、
父がクロ助と散歩に出かけたとき、通りがかったバイクにひかれたそうだ。
即死だった。

すぐに妹から電話を受け旦那助と駆けつけると、
まだ温かい状態のクロ助がタオルにくるまれ横たわっていた。
外傷はなく、遠くから眺めるクロ助は普通に休んでいるようにも見えた。


しかし近づいてそのからだをなでてみると「温かいだけ」で、横たわるクロ助から「生きている」感触は伝わってはこなかった。
生前よくなでてあげたわき腹を触ると、骨がバラバラになっているのが分かった。
さっきまで元気に駆け回っていた前足も、バラバラに砕けた感じだった。

目をかっと見開いて、その時の恐怖がそのまま表情に残っていた。


あまりの出来事に感情がストップしてしまった。




「どうした!?クロ助…!?どうしたんだ!!」

しぼり出すような震える声でクロ助の頭をさする旦那助。




私の横には
すでに泣きつかれて呆然としている妹。




「さっきまでここにいたのに!!」

と、立ち上がる気力さえ失い半狂乱で泣き叫んでいる母。




ただただウロウロする父。



リビングの隅には、クロ助の水とエサの皿がきちんと2つ並んであって、
その前にはクロ助用のマットが敷いてあった。
そのマットに座って、毎日ご飯を食べていたのだろう。

病院から購入しているアレルギー用のエサは買ったばかりらしく、たっぷりとあった。
痒み止めの薬も数日前に処方してもらったばかりだという。

それなのにどうしてそこにクロ助がいないのか、私は不思議で仕方がなかった。




先日誕生日を迎えたばかりのクロ助。
これからもずっとずっとたくさんの季節を一緒に迎えられると思っていたのに…。

結婚して実家を離れた私を、一緒に暮らしていたとき以上にシッポをふって大歓迎してくれたクロ助。

「多分クロ助はお姉ちゃんのこと大好きだと思うよ。」

以前妹にそんなことを言われたことがあった。
たまに私が実家に姿を見せると、クロ助は本当にうれしそうにするそうだ。




昨日ペット斎場へ運んだ。

「クロ助、守ってあげられなくてごめんね…。怖かったでしょ…。」

火葬される直前の最後のお別れに、ひと目もはばからず私は大声で泣いた。


春になれば弁当を持って一緒に花見に出かけた。

雪が降れば、実家の庭で雪合戦をしてはしゃいだ。後から後から降り続く雪を全部口にふくもうとクロ助は大興奮していた。

犬なのにベジタリアンで、冬は白菜、春はキャベツ、夏はきゅうりを楽しんでいた。みかんも大好物だった。

無駄吠えをせず、人を咬まない犬だった。

知能が高く、人間の心を見抜いていた。



もっともっとクロ助と過ごしたかった。
クロ助との日々はまだずっと続くはずだったのに…。


数時間後、
クロ助は小さな茶色の紙袋に入って戻ってきた。

そのあまりにも小さい袋を目にした途端、妹は声を殺しながら大粒の涙をボロボロと流していた。
係りの人からクロ助を受け取ると、妹はそれを胸に抱えながらずっとうつむいていた。
袋の上には妹が流した涙のあとが複数の線をつくっていた。


昨日の今頃、クロ助は確かに生きていたのに。
この目の前の、か細い骨の数々はいったいなんなのか?
ペットショップで初めて出会ったときの、あのヤンチャなクロ助がこの骨だというのか?


今日も1日わけがわからずぼんやりと過ごす。
時折激しい悲しみに襲われ、めちゃくちゃな気分になった。


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