宇宙 ほし の下で…
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Will
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あの人は歌を口ずさんでいた。
「こんな時に歌だなんて・・・。図々しいっていうか神経が太いっていうか・・・。」
あの人の口ずさむ歌と同時にそんな声が耳に触れていった。
ちがうよ。 きっと・・・こんな時だから歌っているんだよ。 じゃないと崩れてしまう。 それをあの人はわかっているんだよ。 無神経なのは、立ち止まりもせずに好き勝手言っている、あなたたちの方だと思う。
暫くの間、少し離れたところからあの人の口ずさむ歌を耳に触れていた。
誰もいなくなった頃から、あの人の歌が涙声になり涙になった。
少し離れたところから動けずに影にそっと身を隠してじっとしていた。
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