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2000年04月21日(金) |
REAL WORLD |
その日のライブは最高だった。 やりたいことをやる。自分達がカッコイイと思うことをやり続ける。それが証明されたような納得のいくステージだった。
MAKOTOはラストメロディーで涙をうかべて熱唱した。ずっと歌いつづけてきたバラードだ。
「自然と涙が込み上げてきた。」 少し恥ずかしそうに笑った。
その気持ちはバックをつとめるオレ達にも伝わっていた。そしてオーディエンスのみんなにも・・。
そんな時だった。ステージ裏の狭い楽屋にスーツを着た大きな男がのっそりと入ってきた。
今時めずらしい大きなサングラスをしたその男は、なかばむりやりにMAKOTOの手をつかみ身体と同じく大きな声で言った。
「いやーよかったよ。君の歌は最高だ。すばらしかった。」
そう言うと、肩を抱くようにして今度は小さな声で耳元にささやいた。
「今、うちのレコード会社で売り出すボーカリストを探している。今日のライブを見て君に決めた。来てくれ。即ソロデビューだ。」
ステージでは次のバンドの演奏が始まった。
MAKOTOは抱かれていた分厚い手を振り解くと、下を向き少し笑いながらこう言った。
「あんた今日のライブ見たんだろ?俺はバンドをやってるんだ。ファンガスというバンドのボーカリストだよ。いくら金を積まれたって、お前みたいな豚野郎に飼われるほど落ちぶれちゃいねえ。」
楽屋に響く音を切り裂くようにそう叫ぶと、壁際に追いやられた大男の顔面のすぐ横にこぶしを叩きつけた。
大男は、「ひっ」と声を上げると顔を赤くして、「こ、この世界で私を怒らせると、生きていけんぞ。」と声を荒げて言った。
「ふん。俺はどん底、ハイでくたばりたい。ハイでいなきゃ生きてる意味なんて・・。」
MAKOTOがそう言ってまた壁際へ詰め寄ると、大男はあわてて楽屋から飛び出した。
開かれた扉から、大音量が飛び込んできた。
「ないんだよ。」
その声は、演奏にかき消されて聞こえることはなかった。
REAL WORLD 詩/鎌坂 誠
残飯とネズミの臭いで始まるバッドモーニング 暗い倉庫の中骨の髄まで腐ってる
馬車馬みたいに働くだけのハードデイズ 夢もへったくれもありゃしない
労働にしばられる為に生まれた訳じゃないぜ HEY SID うんざりだここから出してくれ
なんにもできないでオイボレていくのはゴメンだ 命の近道をおしえて欲しい
叩き出された激しい季節のハイウェイ とにかくブっ飛ばすDO GO
俺を見下ろす冷めたリアルな世界の どん底ハイでくたばりたい
I'll lose REAL WORLD・・・
見知らぬ男に殺られる夢を見た 空から光が降りて目が覚めた
臆病な心に終わらない歌が響く 本当は怖くてたまらないんだ
弾き出された焼けつく陽射しのハイウェイ ここじゃ止まれないTO MY GOAL
俺を見下ろす冷めたリアルな世界の どん底ハイでくたばりたい
I'll lose REAL WORLD・・・
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