祖母から、敬老の日に贈った干物のお礼の電話が入る。 夜になってからのことだったので祖父からではないことを 少し怪訝に思いつつ、相変わらず『(子供は)まだかや〜』と せっつかれ苦笑いして逃げた。
いつもならこういう場合、祖父からの電話であることが多い。 ひとしきり彼が喋りたいことを延々と聞いた後、 満足したであろう頃に祖母に替わってもらうのが常である。 実母が言うには、私は祖父に対して反論もせず相槌を打ちながら 聞いているので話がしやすいらしい。 実のところ反論しても仕方がないのを承知しているため、 単にしないだけなのだけれども。
5分ほど祖母と話した後、祖父に替わってもらう。
‥‥?声にいつもの覇気が全然ない。 風邪でもひいたかと心配になって聞いてみたが、 そういう訳でもない様子。
どうやら約4ヶ月前の授章式の後、立続けにお祝いの会やら それに疲れて入院するやらと色々続いたのが参った原因らしい。 もう一つ昔から『国から賞状をもらう』のを目標にしていたような フシもあったので、遂げてしまった安堵もあったのかもしれない。 いずれにしても聞き慣れた祖父の声でないことに、戸惑っていた。
会話の内容もどこか弱気で、どう答えていいのか 頭の中では必死に言葉を探している始末。 何せいきなり『俺も先長かぁねぇんだからよー』なんて言い出されても 今までなら『何言ってんのよ』と笑って答えられたのに、 噛みしめるように言われちゃ笑うこともできない。
これまでより少し多く、祖父へ電話してみようか。
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