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2005年09月07日(水)


■「無名仮名人名簿」向田邦子
昔はエッセイはほんとうに苦手で、今もそれなりに苦手のような気もするのだけど、食わず嫌いは緩和されてきたような気はする。今回のこの本はわたしの読んだ数少ないエッセイのなかではダントツに面白かったです。というのも、なんだかものすごく親近感があって、わかるわかるっていうより、「それわたしもやった」的な、かなり近しい(痛い)感じ。

読みながら、さすがにパジャマの上にコート着て外を出たことはないですヨッとツッコミをいれてみたものの、あとから記憶の糸を手繰ってみると、わたしもやったことがありました。近所に手紙を出しに行くのに、朝ものすごく早かったし、帰って寝なおすつもりだったし、誰にも会わんだろう…と上にちょっと着込んで家を出たのでした。それで思い出したのが、親がかわいい赤いチェックのパジャマをくれたことがあって、それが従姉のおさがりのシャツとよく似ていたものだから、間違えて着て友達の家に遊びにいったことがありました。間違いに気づいた瞬間はさーっと血の気が引きましたが、言わなきゃわからない…と自分を落ち着かせて黙ったまま通しました。この手の失敗は叩けばいっぱい出てきまするが、叩く前に忘れてしまう性質なのはありがたいことです。