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2007年07月29日(日)
■伊津野重美ソロライブ 「フォルテピアニシモ vol.1 〜魂を迫り上げるように〜」 いつのさんの朗読をマラリーで初めて見たときに、強い印象を受けると同時に、噂に聞いていたこの人はこういうタイプの朗読の人なんだなと思ったのを覚えている。けれど、彼女の朗読を聴く(見る)たびに、広く、深くなっていき、伊津野重美とは、朗読とは、詩とは、「こういうもの」と思いこんでいるわたし自身の固定観念を壊されるので、わたしは何だか勇気付けられてしまう。 ギリギリに会場に入ったら、一番前がちょうど3人分空いていてほっとして腰を下ろす。みんなこの席は怖いんだろう(笑)。緊張した〜。 穂村さんとのセッションでは、いつも飄々としている穂村さんの気持ちがいつのさんの方へ寄っていっているように見えて、面白いなあと思う。で、彼の表情が一瞬うるっとして、あっいかんいかん、と揺り戻したりしているように見えて(勝手にアテレコ)、心のこもった暖かい時間だった。 ドラムとのセッションでは、ドラマーの東郷さんがアイコンタクトではなく、下を向いて、いつのさんの呼吸を読んでいるのが見えた。いつのさんの声にかぶせていくやり方、言葉をそのまま太鼓の音に変換したような、なんて書くと簡単だけど、痺れました。これはもうすごかった。。 それから賢治。ぽわっと下の方から青緑の照明がついた瞬間に、賢治だ〜と思う。彼の詩は難しすぎて、文字で読んでもわたしには意味不明なのだけど、不思議と色合いが残るそんな詩で、いつのさんの朗読からも同じ色合いを受け取る。冷たさと暖かさと、雪明りのような。 逆に朔太郎の「竹」は、わたしの持っているイメージと全然違っていて、天から剣が降ってきているみたい(笑)。 純粋に楽しかった。いつのさんの朗読には色々な感情をかき立てられるのだけど、最後には不思議とシンプルな気持ちだけが残る。今回はそれに加えて、いつのさん自身が持つ世界感と、作品や競演者の持つ世界感と、それぞれにいろんな色に混じり合っているのを堪能できて、楽しかった。 ![]() |