イタミワケ

弟と喧嘩した。
本気で。
胸倉掴み上げて叫んだのなんて久しぶりだった。
知らない間に弟は『自分』を持っていた。
怒声は低くなっていた。
久しく弟に向き合っていなかったことを知った。
一時間、ずっと泣いていた。

多分、五年くらい私は弟と向き合っていなかったのだと思う。
泣いて喚いて
そのとき頭の端で
ああ、
私はこうだったんだと、
思った。

世界の中心には自分がいて
自分がすることは全部正しくて
理解してもらえないのは世界が悪いからで

そんな悲しい考え方に、縛られていた。

嫌いだった。
弟も妹も。
全部全部、嫌いだった。
それはきっと、私がやって認められなかったことを、
彼らがやって認められたからだと思う

泣いて喚いて、ぶつかって、
それでも以前よりかは近くなった気がする。

怖かったんだと思う。
憎めるものが、悪者がいなければ立てなかったんだと思う。
それが、弟だったのだろう。

今、視界の中心は自分だけど
自分がすることは全て正しいわけじゃなくて
周りにいるのは大切な人々で、
だから、きっと
もうあの考え方には戻らないと思う。

それを気付けた分だけ嬉しいけれど、
いなくなってしまった自分の分だけ、悲しかった。

2006年05月09日(火)

AGO。 / 走馬真人

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