きっと今だから気付けた。

久しぶりに妹と話した。
とは言っても月に一回は電話してるのだけど
毎日話してた四ヶ月前に比べれば頻度は落ちる。

「真人がいなくなってからお母さんがウザくなってきた」

些か憤慨したように妹は言ってた。
思わず苦笑した。
同じ高校だけど妹は文系に進むらしく
地元校か関東校かで悩んでいたけど
関東校は母親が「何考えてるの無理に決まってるでしょ」と言ったらしく、
それが著しく妹は気にくわない、らしい。

思わず苦笑した。
三年前をまた繰り返してる。
何も進歩していないんだ、あの人達は。
あのひと、は。

同じことを言われた私がどうなったのか
どんなことをしたのか
忘れてしまうほどだったらしい。
鼻で笑えた。

三十分くらいの他愛のない会話。
夏休み前橋に来れば?とか。某ネズミ王国行ってくるわ、とか。
言えたのは、「お前も関東に来れば?」だけだった。
多分言わなくてもいいことなんだろうけど
「家を出たくて地元の大学は選ばなかった」
「盆に家に帰りたくない」
そんな本音は言えなかった。
流石に妹には、いえねぇよなぁ。
そう思った。

悪気が無いのは重々承知。
愛しているのも重々承知。
許容は、出来ないだけで。
きっと気付いていないんだ。
あの人達は、自分の言葉が子供の首を絞めることを。
あの人達は、自分の子供の言葉を聞いていないことを。

今は、「どうしようもないなぁウチの親は」とか思う。
昨日の晩とかは酷かったけど
今は、それだけ。

きっと妹も家を出たら
弟は圧死して死んでしまうね。
何よりあの人達は弟が大切で
弟は私以上に耐性がなくて、私以上に歪んでたから。

早く梅雨なんて明けて、夏が来ればいい。



……梅雨時は言葉が腐臭を伴うから。
2007年07月06日(金)

AGO。 / 走馬真人

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