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ねぇ走馬さん、俺は今相当幸せなんですよ
それなりに自由になるお金があって それなりに何でも出来て それなりに笑い合える友達がいて ああうん、幸せなんですよね。
アンタだった時より相当「幸せ」なんですよ
世界は暗くもないし 誰も俺を憎んじゃいないし 終わりなんて別にいいやと 思う程度には 御気楽になりましたよ、俺もね。
ただ それは アンタが大嫌いだったアレと同じで 俺が何時か嫌ったアレと同じ、なんですよね。
困ったものですよね。 如何して乖離しちまったんでしょうね、俺達。 ずっとアンタで入れれば 世界は真っ暗な代わりに 俺は整合性を保てたんでしょう。
俺は今幸せですよ 幸せなはずです。 少なくとも世間一般的に見れば、幸せなんでしょう。 でも 何ででしょうね 時たま凄く苦しいのは 時たま凄く悲しいのは
アンタを殺したら 俺は普通に生きてけるって言う自信があります。 アンタをなかったことにして 最初から俺だったことにして。
●●○のネガティブをアンタとするなら ●●○のポジティブは俺なんでしょう。 嗚呼、そうでしたね。 彼によって名付けられた瞬間に 乖離は起きたんでしょうね。
アンタを殺して モジカキだったことも忘れて ただ勉学に追われ 何も考えずに 生きてることに疑問を抱かずに ただただ 検査技師になれば 同じ教室の大多数と同じになれば あの音で溢れた部屋の大多数と同じになれば きっと 楽で シアワセなんでしょう。
でもね 俺はそれを選べないんですよ
何処かでアンタの手を離すのを戸惑っている アンタがあの子供の手を離すのを戸惑ったみたく アンタの手を離したら それは一種の断絶だって知っている どうしたらいいんでしょうね
アンタがいなきゃ幸せなんですよ アンタがいなきゃ楽なんですよ でも それじゃあ
俺の意味がないんですよ
どうしたらいいんでしょうね、走馬さん 一緒に考えてくださいよ 俺一人じゃ 選択肢は出せても決断は出来ないんです
ああ、泣かないでくださいよ 誰もアンタを嫌ってる訳じゃない ああ、泣かないでくださいよ 俺は俺とアンタでシアワセになりたいんですよ
ねぇ、どうしたらいいんでしょうね。 「やっさん」だなんて呼ばれる俺は 此れが思考の限界のようです。 ねぇ、どうしたらいいんでしょうね。 一緒に考えてくださいよ。 泣いてばかり、いないで。
アンタだってシアワセになりたいでしょうに。 だからこそ、そうなったんでしょうに。
俺は今相当幸せらしいですよ でも、何かが足りないですよ
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2008年11月04日(火)
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