気ままな日記
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2004年08月18日(水) 妄想こそ現実

桐野夏生さんの書かれた短編小説のひとつ、「虫卵の配列」。
ひとりの劇作家に恋した女性が、町で偶然出会った女友達に自分の恋物語を語る。
彼女が彼に送ったファンレターの返事にはこう書かれていた。「手紙を待っています、僕の返事は舞台でします」と。
彼女が手紙に書いた一節が、演劇中のセリフに使われていたのだ。
こうした形で、2人の間で、会話以外のメッセージのやりとりが続いていき、そのうちに、彼女の存在が彼の劇風や家庭生活にまで影響を及ぼし始める―。
結局その話は、彼女の妄想に過ぎず、それどころか実際には彼女はその劇団のブラックリストに載るほど迷惑がられている存在だった。

良くも悪くもこういう思い込みや勘違いはままあることだ。
実際語られた言葉をきっかけに、あるいはネットの書き込み、あるいは態度やしぐさをきっかけに。
それが誤解や齟齬、とまどい、そしてさらなる妄想を生む。
 あれはわたしに向けられたメッセージだったのだろうか?
 ただの思い違いだったら恥ずかしい。でももしも当たっていたら―?

妄想も、「当人にとっての現実」として、心の中に都合よく収まっていられるのが1番いい。所詮本当のことなど誰にもわからないのだから―


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