安野光雅著「旅の絵本」をながめる。描かれているのは淡々と続く人々の暮らし、日常。文字の書かれていない絵本は、ながめるというのがふさわしい。町や村のどんな片隅にも、人はそれぞれの持ち場をもって暮らし、その日1日を終える。特別なものも、人もいない。とりたてて語ることもない。 あたりまえに過ごせることのありがたみと、人はひとりで存在しないというあたたかみが伝わってくる。