蜜白玉のひとりごと
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2013年06月18日(火) |
今年読んだ本◇21冊目〜30冊目 |
ひさしぶりに、今年読んだ本のふり返り。21冊目から行けるところまで。
◇21冊目:高橋みどり、山田太一、笹本恒子、黒柳 徹子著『沢村貞子の献立日記(とんぼの本)』新潮社
読んでからもうだいぶたってしまったのがなんだけれど(ツイッターだと4月11日の記録だ)、沢村さんの献立日記の「ノート」の写真を見れたことが、この本のうれしいところだった。献立日記の内容はこれまでも文庫で知ることができたものの、実物の「献立日記」を見たのはこれが初めてだと思う。沢村さんが無地の大学ノートにカレンダーの絵で表紙を付けていたという、20数冊のその「ノート」は想像以上にかわいらしく、またしっかりとしていて、暮らしを楽しむ心持ちとか、沢村さんの実直さみたいなものを感じた。
◇22冊目:江國香織(えくに・かおり)著『ちょうちんそで』新潮社
さびしかった。主人公の境遇もさびしかったし、読み終えてまた一歩、江國さんから遠くなっていたことに気づいてさびしかった。『流しのしたの骨』や『神様のボート』を初めて読んだ頃の、密着、というよりはむしろ自分の中に取り込んでしまったかのような距離の近さ、距離のなさ、を感じることはもうないのかもしれないと思って、さびしかった。
◇23冊目:村上春樹(むらかみ・はるき)著『色彩を持たない多崎つくると、彼の巡礼の年』文藝春秋
すごい売れるな、なんだこれは。みんなそんなに暗くて意味のわからない小説が好きなのか、どこにこんなにたくさんの本好きが隠れていたのか、と不思議に思う。村上春樹は以前ほど好きではない。ハルキストほどの熱狂ぶりもなければ、アンチと言えるほどの心意気もない。新刊となるとひどい騒がれようなので、ただへそ曲がりの私としては「ブームが去るまで読まない」という態度に出ようかと思っていたら、夫が買ってきたからちょっと拝借。一気に読めたけれど、良いか?と問われるとそうでもないような。もう何を書いても売れるから、なんでもいいのかな。村上春樹だとやっぱり昔の短編が好きだ。長編は今も昔もよくわからない。とりあえず今回は1冊で済んだから最後までは読めた。1Q84なんて2冊目で挫折したっきりだから!
◇24冊目:増田みず子(ますだ・みずこ)著『空から来るもの』河出書房新社
図書館のリサイクル本。増田みず子さん、名前はある人から教えてもらった。この方の作品を初めて読んだけれど、内面に深く落ちていくようでありながらも重くなく、表層を漂う軽やかさを感じられるのがおもしろかった。ほかにももっと読んでみたい。
◇25冊目:石田千(いしだ・せん)著『役たたず、』光文社(光文社新書)
めずらしく新書。新書なのに役に立たない話だと買った方に申し訳ないから、ということでこのタイトルにしたらしい。内容をかいつまんで母に話したらえらく気に入ったので貸す。母は途中までずっと石田さんを男の人だと思って読んでいたそうだ。夕方、ひとりでお酒を飲みに行くあたり、無理もない。そして、あなたの娘も似たようなものです。あしからず。
◇26冊目:中島京子(なかじま・きょうこ)著『花桃実桃』中央公論新社
私の好きな「アパート、ハイツ、○○荘、下宿もの」に分類される。登場人物、ストーリーおもしろすぎ。また読みたい。こわくない幽霊のところとかは川上弘美さんにも似てるかも。
◇27冊目:津村記久子(つむら・きくこ)著『アレグリアとは仕事はできない』筑摩書房
実生活に根ざしていて笑える。これを読んで以来、実際に職場のコピー機が足元を見るかのように壊れはじめたのも何かの縁。
◇28冊目:江國香織(えくに・かおり)著『はだかんぼうたち』角川書店
ひさびさのヒット。時間をおいて要・再読。(後日談:角川書店『はだかんぼうたち』発刊記念の特性原稿用紙プレゼントに応募したら当選した。私は運をこんなところに使っている。)
◇29冊目:津村記久子(つむら・きくこ)著『ポトスライムの舟』講談社
憂いのある派遣社員とか非正規労働者(女性)を語らせたら、津村さんがいちばん上手なのかな。よくわかっていらっしゃる。
◇30冊目:中島京子(なかじま・きょうこ)著『イトウの恋』講談社
これを読んで史実的な何かを知ろうとする人には物足りないのかもしれないけれど、私はこれはこれでいいんじゃないかと。
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