ひとひらの想い

2012年12月29日(土) 物おもい

先日、たんす屋さんへ羽織紐を買いに行きました。
最初、店内には私だけだったのですが、通路沿いの棚に年配の女性が。
紋付の黒羽織を見ていました。

そこへ通りすがりの同じ年頃の女性が、「あら、こんなに安いの?」と
黒羽織を見ていた女性に話しかけたのです。

それからおっきな声で、着物談義をはじめ、自然と耳に入ってくるので
聞いていましたが、
「私たちのころは、何十万も出して誂えたものよね〜」とか
「なんでこんなに安くなっちゃったのかしらね〜」とか。

結局、乗せられる形で、紋付の黒羽織を買っていかれました、最初の女性。
お裁縫の材料にすると言って。

なんか、う〜ん、な感じでして。

なんでこんなに安くなったのかというと、あなた達世代の方々が
着物を捨てたからですよ。

でも、おかげ様で私たち世代が安く買えてるし、着れてます、とも。

昭和の中期、私らの親世代が若いころは、洋服のほうがお洒落だったんですよ。
私たちが着物を見て、素敵〜着たい〜と思っているように、あの世代の方達は
ワンピースやスカートに胸をときめかせていたのだと思います。

ただ、そんなに勢いよく、脱ぎ捨てなくてもよかったのになあと、ちょっと残念。
礼装が残ってるのは、そのなごりなのでしょうね。

お正月ぐらいは、ちょっと昔の着物でも着てみようかと、団魂の世代の方々が着てくれると
若い人たちにも受け入れやすくなるのかもなあと、ぼんやり考える年末です。


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