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■ 感情を感じることの恐怖
こないだのカウンセリングは、まさにこれがテーマでした。 GW前から、何だか悶々としてスッキリせず、原因はそれなりにあったけど、でも自分の感情がもうひとつ見えてこなくて、胸の辺りでくすぶった得体の知れないものが動めいていたという感じ。 時間が経つにつれ、何となく悲しいのかな?辛いのかな?寂しいのかな?というのは解ってきたけど、それでも湧き上がってこない感情…そこには確かにあるのに…
でもそれはあるキッカケで突如溢れ出しました! 『鯨の中のジョナ』という映画を観た時、感動とはまた少し違う…深いところから激しく突き上げてくるものがありました。 そして、このGW中、その映画のワンシーンを思い出すだけでワンワン泣いたのでした。 映画自体は、ナチスドイツのユダヤ人強制収容所の話だったけど、家族の愛を描いた映画だったんで、ほんとに溢れるほど込み上げてきました。
主人公は3〜4歳の男の子(これがまた可愛いんだ) 彼は物心つくかつかないかの頃、強制収容所に両親と共に連行される。 そして、父は別の棟に、男の子は母と同じ棟に… 男の子は、収容所という劣悪な環境の中で成長していく。
収容所の中でお父さんが病気で死に、ソ連軍の解放によって助け出された直後に、お母さんも精神を病んでしまって亡くなってしまう。 まだ小さい男の子が、その悲しみの絶望から少しずつ立ち直っていく…何とも健気で泣けてきた。
お母さんが亡くなる少し前に、彼がお芋を持って見舞うんだけど、心に大きな痛手を負ったお母さんは被害妄想で、自分は毒殺されると思って、食べないし、薬も飲まない。 そして、周りにいる人達を激しく罵る… 「皆死んでしまえばいいのよ〜!」 …って大暴れして… それで鎮静剤を打たれると一瞬正気に戻って、男の子に 「いつも空を見上げているのよ。決して人を憎んではいけないよ」 …と言う。 それはお母さんが収容所の中でも、いつも口癖のように男の子に言って聞かせていた言葉。
何だかものすごく悲しかった…せっかくやっと自由の身になれたのに… 家族3人でまた一緒に暮らせることを夢見ていたのに、お父さんは亡くなり、お母さんも希望を失ってしまって、解放されても心が癒されることがなくて…
男の子は子供らしく自由になれたことを喜んでいたけど、お母さんを亡くし…しかもそれを後で知って、悲しみでご飯も食べなくなってしまって… でも養父母に自転車をプレゼントされて、最初は見向きもしないんだけど、両親と楽しく過ごしていた時のことを思い出し、いないはずのお父さんに甘えて、また希望を取り戻し立ち直っていく。
こんな絶望の淵にあって…持って行きたくても、収容所に持って行けなかった三輪車…今はコマはついていないけど真新しい自転車に、子供の頃からのお気に入りだった人形をハンドルの中央につけて… そしてお父さんとお母さんの幻影の中で走り回る…ああ〜また泣けてきた。
「いつも空を見上げているのよ。決して人を憎んではいけないよ」 男の子はこのお母さんの言葉を胸に生きていくんだろうなぁ〜 私の胸にもズシンとくる言葉でした。
話は随分それちゃったけど、そうそう…感情を感じることの恐怖。 私は自分の感情を知るのが怖い…って言うか、自分の感情がわからない。 特に悲しみの感情がよくわからずに持て余してしまう。 突き詰めると、悲しみだけではなく、怒りも、楽しさも、嬉しさも、悔しさも、辛さも、喜びも、何もかも…漠然とそこにあるだけで、胸に迫ってくるものはない。 そう…淡々と生きてきた…ただ淡々と… 何も感じないフリ、何でもないよというフリ、全然平気というフリ… どんな感情も脇に脇に追いやり、競走馬のように脇を見ないようにして、前だけ向いて走ってきた。
「子供の頃はそうでもしないと生きて来れなかったから、そうしていたのよ。 でもこれからは、ちゃんと自分の感情を見るようにしないと… 感情を出す出さない以前に、自分の感情を後ろに追いやらないで!頭で考えないで! 得体の知れない感情は、いつか自分の手の届かないところで爆発してしまってコントロールが利かなくなるよ」 …とカウンセラーは言う。
「これまで着ていた服(感情)はすごく体に馴染んでいて、着心地はいいかもしれない。 その馴染んだ服をそう簡単には脱げないかもしれない。 でもそれを脱ぐ勇気も必要。 新しい服に着替える…それはとても苦しいし辛いよ。 嫌な自分も見なきゃいけない、感じたくない感情も感じなければいけない。 だけど、それを見ないで通り過ぎようとしても、ないことにしてしまっても、体のどこかに、心のどこかにはあるんだから… 自分ことがますますわからなくなるよ。 それはとても危険なこと…」
はぁ〜 ため息をついてしまった。 どうしたらいいのか? 勇気…う〜ん、そうか… う〜ん…う〜ん…
自分はだいぶ回復してきたと思っていたけど、実はやっとスタートラインに着いたに過ぎないんだ。 これからなんだ…本当の闘いは…辛い作業が待っているな。 一気に押し寄せる感情の波を思うと怖いな…
2002年05月11日(土)
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