Comes Tomorrow
ナウシカ



 妹の結婚

あの妹が結婚します。
本当にびっくりです!

精神科の入退院を繰り返し、離れたくても離れたくても母から親離れできなかった妹。
結婚以前に、一人の大人として自立するのが難しいと思われた妹。
脳性マヒと統合失調症という心身共に障害を持ちながら、生きてきた妹。
私もほとほと疲れ、投げ出していた妹。

そんな妹が結婚するなんて!
32歳の誕生日を迎える4日前に入籍は済ませたとのこと。
相手は25歳。
彼もまた心身共に障害がある。
それでも妹よりは軽いようである。

彼も複雑な家庭に育ち、両親とは縁が切れてる?らしい。
幸か不幸か、それが結婚の障害を低くしたんじゃなかろうかと考える。
重度の障害を抱える妹との結婚を、うんと若い彼の両親がすんなり許してくれただろうかと思う。

それは兎も角として、電話でこの報告を妹から受けた時は、にわかには信じられなっかった。
数年前から何度も『家出ようと思うねん』『結婚しようと思うねん』と具体性のない夢話ばかりを聞かされ、うんざりしていたし…
病気のせいもあって、時々妄想めいたことを言っていたし…
彼自体、姿を見るまでは実在の人物かどうかさえ疑っていた。
一緒に暮らしていないし、ここ最近、妹とは会っていないので確かめようもなかった。

そして実際会ってみて(ああ〜本当にいたんだ!)と、やっと信じることができた。
私よりも老けた感じに見えたので、てっきり年上と思いきや、後で年を聞いてびっくり!
いやぁ〜今回ばかりは本当に参りました…完敗。
妹の将来を勝手に悲観的に考えていた私。
だからこそ心の底から嬉しい。

が…私は動揺した。
何に動揺したか?
それは母と対面すること。
それだけは避けたかったんだけど、やはり無理だった。
向こうから普通に話し掛けてきた。
それがムカついた!

私はほとんど目線も合わさず、視界に入らないように背を向け、そそくさとその場を後にした。
早く立ち去りたかったんだけど、たまたま通りかかった公園で遊びたいと上の子が言うので、仕方なく遊ばせていたら…来た!
『2人も見てたら(育ててたら)大変やろ?ママが見たるから…』
私は『その前に何か言うことあるやろ!』と咽元まで出かかった言葉を言わず『ええよっ!』と言い放ち、子供を急かしながらすぐに背を向けて帰った。

何を考えているのか!?
普通の親が言うような言葉で、はいそうですかと聞ける訳もない。
私達は、そんな親子関係ではない!
全然、自覚がないのか、無反省なのか、鈍感なのか…理解に苦しむ。

そこで私も折れれば、関係修復の糸口にはなったかもしれない。
だけど、一時いい顔を見せていても、また何かの折に裏切られるのは私。
いつも、この手で振り回され、心をかき乱されてきたんだ!
もう二度と、あんな思いはしたくない!

もし私が母を受け入れる時が来るとしたら、それは母が心の底から私に詫びを入れる時だ!
涙を流しながら謝ってくれたら、話ぐらいは聞こうかと思えるかもしれない。
やはり、そう簡単には私の心は溶けない。
それが、わかった一日でもあった。
長い一日だったな…


2004年02月11日(水)
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