汚れを知らなかった日 目に映るものでさえ映っていなかった
初めて一緒に観た朝焼けが今では遠い日のようで 真昼に観た月はやけに綺麗で空は澄んでた 静かに迎えた夜は他愛のない会話で溢れてた
流した涙も 繋いだ手も ただ幸せだった 居心地が良すぎるくらいに
汚れを知った日 途端に周囲が見えるようになった 瞼を塞いで視界を無くしたいと切に願った
何か言いたそうにものが大切なものが壊れる 失うことなど知らない余りに怯えてた
冷たい雨が突き刺さる すべて流れてしまえばいい 要らぬ不安と共に消えてくれればどんなに嬉しかっただろう 外灯の灯りも静かなベンチも無機質な人工物としか映らなくなった
夏に降る雪のように嘘だと言って欲しい 新雪に埋もれた地面が見えないように覆い隠さないで
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