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2005年08月24日(水) |
『プロデューサーズ』(日本版) |
<場所>青山劇場J-40番 <時間>8/25(木)1幕18:30〜19:50、2幕20:10〜21:15 <出演> マックス・ビアリストック:井ノ原快彦、レオ・ブルーム:長野博 ウーラ・インガ・ハンセン…(以下略。やたら長い名前):彩輝直 ホールドミー・タッチミー:松金よね子 カルメン・ギア:岡幸二郎、ロジャー・デ・ブリー:藤木孝 フランツ・リープキン:桑野信義 板垣辰治、乾あきお、坂井成紀、附田政信、中本雅俊 登坂良樹、松原剛志、浅野実奈子、坂本法子、鈴木奈苗 高橋あすか、高橋千佳、林綾子、樋口綾、藤林美沙
すごく元気になるミュージカルかも。 メル・ブルックの「ミュージカルが好きだー!」って気持ちが 舞台から響いてきて、嬉しくなって元気になってしまう。 藤木さんや岡さん、松金さんたちは勿論、主役君たちも、 アンサンブルさんたちも、参加している人たち全員も、 きっと、すごく舞台好きなんだろうなー!って思えて幸せ。 キャラクターたちも、をいをい(^^;って感じの人ばかりだけど、 肯定的に人生楽しむ才能のある人たちばかりで、 (あ、フランツは違うか。あまりにダメで意識になかったけど) 観終えて「ショーほど素敵な商売はない」って言いたくなる感じ。
印象に残っていることといえば、 まずはやっぱり、藤木ロジャーの登場シーンでしょうか(*^^*) うきゃ〜!って感じ。もう、思わず登場で拍手ですよ〜! クライスラービルを模したとかいうギンギラ銀に輝くドレスが、 文句なく完璧にハマっちゃう存在感は、さすが怪物役者さん。 悪趣味な服と濃さに苦笑いしながらも、つい賞賛してしまう。 「私は私としてすばらしい!」という自信に輝いている ある種の美しさって、アイデンティティの確立のために 戦いが必要だからかゲイという人々に多い気はするけれど、 (いや、直接知っている人はいないので単なる想像ですが) 結構 悪趣味な家に住んで、マックスに目をつけられる 「最悪の」演出家だっていうのに、この自信と美しさってば。 まさにゴージャス。カルメンが持ってきた「アナスタシアカツラ」を つけると、そのものになるのも、何とも見事。
2幕、♪「春の日のヒットラー」では、 急な代役でヒットラーを演ることになるんですが、その時も この「どうだ!」迫力が、馬鹿馬鹿しさに文句を言わせない。 カーテンコールでカルメンが客席を駆け下りてきて、 花束を投げ入れて、ロジャーにラブコールを送って、 駆け去るんですけど、気分はもう同化しちゃってました。 カルメンがまた、スラッと背が高くていい声でかっこいいのに、 なんか可愛らしくって、似合いのカップルなんですよね〜。 まあでもこの場面は、もーーーっと、毒々しくても良かったかも。
しかしこの「春の日のヒットラー」、ありなんかい?(^^; って感じの、ドイツこけにしまくり舞台なんですよね。 ワルキューレやらプレッツェルやらをドド〜ンと頭にかぶった ド派手なきんきら衣装のお姉さん方が、無駄にいい声の 親衛隊と一緒に歌い踊っちゃうし、『42nd Street』ばりの 鏡を使った演出で、ハーケンクロイツ組んで見せちゃって。
ここはできれば、ババ〜ン!とグラマー美人さんたちが 出てきて欲しい場面ではあるけれど、そこは日本人だし、 ウーラの外見が完璧だっていうだけで諦めなくちゃかな? 「金髪グラマー、おバカだけど憎めない美人さん」という これまた特徴的な女性を、ついこの間まで宝塚で男役を やっていたという人が、弾けきって演じてくれてちょい感動。 一目惚れしてきたダメダメ男を、当たり前のように受け入れて、 意識してないだろうけどリードして、育てて、結構いい女だし。
話それたけど「春の日のヒットラー」、 私、この舞台、結構マジで観たいかも。ここまで明るく、 アメリカ〜ン♪って演出で見せてくれられちゃ逆らえないよ。 ホントにいいの?!って思いながら引きつり笑顔で楽しんじゃう。 覚えてないけれど、42ndの演出家もユダヤ人だったりする? フィドラーとか、ユダヤ人関係のネタも多い舞台だし、 この場面でいじってこないはずはないと思うんだけど、 ネタが拾い切れない自分が苛立たしいです。
あと、すごく好きだったのはアンサンブルさんたち。 「春の日のヒットラー」や「愛の囚人」は勿論だけれど、 1幕最後「さあ、金を集めるぞ!」ってマックスが出かけた先の お揃いの おばあ様方の歩行器タップ、最高、楽しかったな〜。 歩行器の足を、見事に揃えてジャッジャッと踏み(?)鳴らして、 音質や音の大きさが、下手なタップよりも音声的な快感になる。 ブランコは『コンタクト』思い出したけれど、考えすぎ?
メインキャストは概ね良かったけれど、 最大に気に入らなかったのはフランツ。アクも存在感もない! 世界中から叩きまくられている人を尊敬してやまなくて、 誰にも語ることはできないから、鳩だけを友としているけど、 だからこそ、いざ語れるとなったら強引で止まらないのよね? 何か、この時期にNYでナチス信奉者として暮らすことの 鬱屈した気持ちみたいなものが一切感じられなくって、 ただの、ちょっと気弱だけど、明るくて鳩好きの 気のいいおじさんみたいに見えてしまった。 この舞台の毒を薄めた最大の原因のような気がします。
最後になりましたが、主役の2人について。 長野レオは、長野君でした。いや、私は、タレントとしての 「V6の長野博」は、実はほとんど知らないのですが、 きっとこれはタレントとしてのキャラなんだろうなと感じたり、 ファンに迎合するような部分が散見されたのが、とにかく嫌で。 長野レオは、小動物のような「かわいいー(*^^*)」キャラ。 最初っから最後まで、ほとんど変わらずそれだけで通した。
本来のレオはきっと、いい年して、ライナス毛布が手放せない という場面で「かーわいーいー」と思わせるわけはないと思う。 それは病的傾向の一種で、その毛布を手放せるように なることが、肯定的な大きな意味があるんじゃないの? 毛布と共にあることを肯定的に見られちゃいかんだろ? まあ、毒のない笑い主体の舞台ならいいのかもしれないけど、 ミュージカルと考えた時、歌声もあまりに小さすぎたし、 彼の舞台は2本目だけど、もう当分観なくていいかなぁ。
逆に井ノ原マックスは、ちょっと意外でした。 少なくとも、しゃがれた感じに作った声と妙な自信に満ちた 胡散臭い雰囲気は、アイドルでは有り得ないはずのもの。 その、裏も表も見てきたような雰囲気は、結構、長野君と、 年齢差10歳ぐらいはあるように見えたかも。すごいぞ。 相当な早口もあって、台詞が聞き取りにくいのは難だし、 声量はあったけど、歌詞も長野君以上に聞き取れなかった。 ただ、松金さん達おばあちゃんsがお金を払いたくなるような 生きることに対して前向きな旺盛なパワーがあって、 なかなかいい感じじゃん、という印象で1幕を観ていまして。
2幕の♪「裏切られた!(BETRAYED!)」で、驚きました。 センターに作られた檻の中、ただ1人で、結構 長いソロ。 彼の立場から見たこれまでのあらすじと、今の心境を、 ひーたーすーらー語ってくれるという、とんでもない曲。 彼、きちんと「見せ場」にしていました。飽きさせることなく。 ドラマを歌い上げる表現力はしっかりあると見た。実際、私、 笑ったり眉に唾つけたり苦笑したり、すごく盛り上がったもん。 まだまだだけど、歌で演技できるというのは、私にとっては 一番大きなミュージカル役者としての素養なので、 そこらの単なる芸大卒よりずっと今後への期待大かも。
そんなに期待せずに行ったのにしっかり楽しんで、 エンディングの♪「Goodbye」では、♪お帰りはあちら、とか ♪早く帰れ〜!とか歌われて、はいはいお疲れ様でした〜と、 彼らに感謝しつつ、笑顔で劇場を後にできたりしちゃって。 本来の毒は相当薄められてるんだろうという印象だったけれど、 まあその分、真正面から素直に楽しませていただきました。 ♪「Goodbye」は、玉野さんのショーの最後によく使われていて、 はーい、有難う、楽しかったよ〜!って帰る気分になるけれど、 それと感覚はそんなに違わないのかな?面白かったです(^^)
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