まなざし

君に会えるのが嬉しかったからきっと、
いつもより
出かけるのに少し
時間がかかってしまったんだ。

遠いような近いような
中途半端な距離に居る君の存在が、
心地良くもあればもどかしくもあって
それが最近のわたしの気分を支配している。

君の声が届く距離、
君の姿が見える距離、

君の居る空間に触れる時

呼吸をする事も
景色を眺める事も
まるで違う世界を体感しているような気分。

君が少しづつ繰り出す言葉を、
意味すら理解も出来ないほどに
ただ淡々と自分の体に刻み付けていたんだ。

言葉を交わせなくても、
その瞳がわたしを見つめてくれなくても、
この想いの一瞬を
燃やせるだけの君の力が届く事が
わたしにはとても怖いくらいだった。


君の尊敬するアノヒトが、
何度も振り返って君に声をかける度、

まるで愛しい人に想いを馳せるような
真摯なその君のまなざしが

わたしの気持ちを
いっそうに震えさせてた。






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