国体から帰ってきてくぐもりが活動休止しているのを知る。 何も残せなかったけれど、喪失を覚える。
国体は五位だった。 あと0.4点で三位で三万円の賞金が手に入った。 予選で失敗したのが痛い。
でも、予選で失敗しても決勝に進出できた事実が大きいと思う。 ベストを尽くせなかったのか。 それともその瞬間、ベストを尽くして失敗したのか。
おれはあんたの名前なんて知らないよって奴らに めちゃめちゃ声かけられた。 顔が売れてるのか。
会場設営の中学生の女の子に騒がれた。 アドレスを求められつつ 「今携帯壊れてるから」などと逃げる。
一緒に行った後輩を仕方なく抱く。 死ね、おれ。
なんで女の子は泣きそうな顔をするんだろう。 抱きしめて、キスをしたら 笑顔で迎えて欲しい。 唇を触れ合わせることが 君のためになっているなんて そんな確信を持てるほど、おれは大人じゃない。
詩を書ける。 たぶん、今のおれなら詩を書ける。 君を抱きしめて、キスしただけで帰したあの夜の悔しさを 馬鹿すぎるおれを詩に書ける。
けれど、詩に書くべきじゃないのだ。 この悲しみはまだ胸の中にとっておくべき。 そうじゃないと君の中に植え付けた迷いに応えられない。
眠れない夜は続くだろう。 携帯は壊れたままだ。 あんたに連絡したい。 他の女とキスしましたとか、死にたい。 君も同じ苦しみを抱いて男に電話するのか。 いや、それはないな。 君はずるいから、きっと電話じゃ笑顔なんだ。
それが、女の子だ。
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