確か1週間くらい前の出来事だっただろうか...
詳しくは覚えていない...
あの日、僕は仕事を終えて事務所から帰ろうと、
階段を下りて自転車のもとへと急いだ。
そして歩道の植込みの下、
犬の糞を踏んだ。
誰が悪いんじゃない。
決して誰も恨まない。
犬も、飼い主も、街の美化委員も、僕も、誰も。
あの日の僕はそんな運命だった。
自動販売機で缶コーヒーを買った。
それを飲んだ。
靴の底をそっと見てみた。
犬の糞が乾いていたのでくっついていなかった。
不幸中の幸いとでも言えば良いのだろう。
ただ、もし底にベタリとついていたとしても、
それはそれでエキサイティングな人生。
悪くはないかもしれない。
でも、革靴じゃなくてスニーカーのときの方が良い。
スニーカーなら洗えるから。
犬の糞を踏んだのなんて何年ぶりだろう...
そんなことを考えながら自転車に跨り
ペダルに足を乗せた。
走りだすその瞬間、
ふと植込みに目をやると
『犬の糞の後始末はきちんと』
正確ではないけれどこんな貼り紙が針金で括り付けてあった。
僕の踏んだのは犬の糞じゃないかもしれない...
そんなことを思った。
あの日、僕は仕事を終えて事務所から帰ろうと、
階段を下りて自転車のもとへと急いだ。
そして歩道の植込みの下、
糞を踏んだ。
犬のものか人間のものか、
それは分からない。
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