 |
 |
■■■
■■
■ 余韻、のこり香、遺物
GWの谷間になった月曜日。 床の上に畳まれたままの客用の布団をベランダに干し、彼女が「紛失」したという 赤いキャミソールを もいっぺん探してみる。布団カバーのチャックを開けたり、 ベットの下の収納をのぞいたり、念のため、冷蔵庫 とか 電子レンジの中とかも。
週末、金曜の夜から日曜まで親友がうちに来ていた。 彼女はお医者さまで、埼玉で行われた学会を口実に(いえ、本業ですものね) 久しぶりに東京へ遊びにきた。知り合って12年、干支がぐるりと一周経過よ。
「残してきた患者さんに 後ろ髪を引かれる」と言いつつも、日々の激務労働から 離れ、しばしの休息。いつもは夜中でもファーストコールで呼び起こされ、病院 へ駆けつける、勤勉で行動派の女医さんなのです。とにかく久方ぶりの再会。 夕方の5時から地下の酒蔵にもぐりこみ(関係者各位、電波が通じなくてゴメンよ) 積み重なったハナシを肴に、延々と6時間近く飲み続ける。
私が彼女を好きな理由。 もうそれは語りきれないほどあるけれど、ひとつ挙げるなら、その人間ぽさ かも しれない。即ち、ひとの生と死に立ち会いながらも、ひと ひとりぶんの重みを、 最初から最後まで諦めず、受け止めようとすること。そのためなら、ジブンを いくらでも差し出せること。その労力を厭わないこと。
布団を干し、ぱんぱんと叩くと、彼女の香水の匂いが ふわっと風に舞う。 私はわさわさとそこに顔を突っ込み、彼女が語っていった言葉を反芻する。 いつも、こうだ。彼女が帰ってゆくと、彼女のコトバばかりが私に留まる。
・・・それにしても、赤いキャミソール。 酔っぱらったまま風呂をすすめたアタシも悪かったが、まさかそんな習癖があると 思わないじゃないすか。身につけて寝たはずが、朝になって着ておらず(しかし、 パジャマはちゃんと上までボタンがはめられていた)全くの行方知らず。
ふたりして、可能性のあるトコないトコ、すべてひっくり返して探したんだけど、 忽然と消滅した。モチロン彼女の鞄にも入ってない(私たちは、買ったばかり の靴が入っていた箱の中まで調べた)。きっとアタシが寝てる間に、彼女は もぞもぞと起き出して、ベランダから脱ぎ捨てたんだ。そうに違いあるまい。
時に記憶もモノも紛失する彼女ですが、私にとっては自慢のお医者さまです。 しかし、患者さんに流行された風邪、彼女からアタシに伝染したみたいなのですが。
オーマイガッ!黄金週間、毎年恒例、今年も発熱かっ(泪)
2003年04月28日(月)
|
|
 |