-殻-
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今日は、妻が職場の飲み会で遅くなるという。
つまり保育園のお迎えは僕がするということで、仕事を早く切り上げた。 手のかかる息子だが、一緒に過ごす時間はこの上なく幸せだ。 こんなにまっすぐに誰かに見つめられることなど、日常生活ではそうあることではない。 それを何の照れも遠慮もなくできるのだから大したものだ。 会社から保育園までは約一時間。 普段はなかなかこの時間に会社を出ることはないので、定時上がりの車の量にうんざりしながら車を走らせる。 きっと息子は、僕の姿を見て嬉しそうに笑い、ハイハイして足にまとわりついてくるんだろうな。 帰ったらまず息子の離乳食を作って食べさせて、風呂を沸かして・・・ 僕の夕食をゆっくり作っている暇はないだろうから、コンビニ弁当で済まそうか。 まったくあいつときたら、構ってほしくてどこまでもついてくるからなあ。 一人だと風呂に入れるのも一苦労だ。 本当にじっとしていられないんだから・・・ 僕の頭の中では、息子と二人きりで過ごす時間の計画が立てられていき、頬が緩む。 保育園に到着。 車を停めて、もう人気のない静かなグラウンドを横切って、0歳児の部屋に向かう。 扉を開けると、息子の姿がない。 あれ? 「あら、今寝ちゃってるんですよ。」と先生。 「あ、そうなんですか」と拍子抜けする僕。 「いつもより遅く寝付いたんですよね。ついさっき。」 「あ、あー、そうですか・・・」 まあ、そのうち目を覚ますだろう。 着替えとオムツを回収して、息子を抱き上げる。 →目を覚まさない。 車に連れて行き、チャイルドシートに寝かせる。 チャイルドシートは冷えてるから、目を覚ましちゃうかもな・・・ →息子は昏々と寝ている。 エンジンをかけたら起きちゃうかも・・・ →全く反応なし。 走っているうちに起きるかな・・・ →そのまま家に到着。 抱き上げたらさすがに目が覚めるか。 →ふご、と一声、また熟睡。 仕方がないのでベッドに寝かせ、起きるのを待つ。 まあ、そのうち目を覚ますだろう。 食器を洗い終え、すぐ離乳食を作れるように準備しておく。 息子が寝てるうちに僕の食事を済まさなきゃ、とコンビニ弁当をかき込む。 風呂は追い炊きの日だからこのままでいいな。 日本シリーズを見ながら、息子が起きるのを待つ。 どうした日ハム。山井が調子よすぎるのか、まったく打てないじゃないか。 こりゃあ完封どころかパーフェクトになっちゃうぞ。 ・・・あれ?変えるの?この状況で?岩瀬?ほんとに? あー、終わっちゃった・・・ 息子はまだ目を覚まさない。 時々ほっぺをつついたり、名前を呼んだりするのだが反応がない。 することがないので晩酌を始める僕。エビス・ザ・ホップを開ける。 つまらないテレビ番組が流れていく。 そのうち、妻から「今から帰る」とメールがきた。 結局妻が帰宅、息子はそのまま夜の眠りへ。 おいおい、父ちゃんとの甘い時間はどこに行ってしまったんだ。 僕がっかり、妻爆笑。 子供は思い通りにならないというが、あまりにも切ない夜だった。 INDEX| PAST| NEXT | NEWEST |